長野県5市町が観光周遊ルート開発、台湾人を主なターゲットに

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 群馬県の富岡製糸場が世界遺産に登録され、同施設への入場者は登録前の平成25年が314,516人であったのに対し、登録後の平成26年は1,337,720人と大幅に増加している(JTB中部松本支店調べ)。

 このように「絹・シルク」への関心度が高まりをみせていることを契機に、同じようにシルクロードや絹関連施設を観光資源として推奨している長野県の駒ケ根市、岡谷市、諏訪市、下諏訪町、辰野町の5市町では現在、国の地方創生交付金を活用し、外国人観光客を主なターゲットとする「信州シルクロードを核とした広域観光連携事業」に取り組んでいる。

 同事業の中で、駒ヶ根市が主体となり結成された「信州シルクロード連携協議会(以下:同協議会)」は、台湾系観光客と欧米系観光客にターゲットを絞った信州シルクロード広域観光周遊ルートの開発及びモニターツアーの実施計画に取り組んでいる。同協議会によると、同5市町では近年、台湾人観光客が増加傾向にあり、そのことから海外観光客の中でも特に台湾人をターゲットに設定したとしている。

 同協議会はツアーを具体化させるべく2月15日、長野県の岡谷市役所で信州シルクロード広域観光周遊ルート開発会議を開催した。同会儀には、意見の偏りを回避すると共に新たなアイディアを取り入れるために選出された、自治体関係者や地域の観光協会、旅行エージェント、地域の学生、シルク関係者、外国籍の委員らが集まり、より良い観光周遊ルート開発に向け、話し合いが行われた。

信州シルクロード広域観光周遊ルート開発会議には、意見の偏りを回避すると共に新たなアイディアを取り入れるために選出された各界の委員が参加した。
信州シルクロード広域観光周遊ルート開発会議には、意見の偏りを回避し新たなアイディアを取り入れるために選出された各界の委員が参加した。

 唯一の外国人委員として選出された台湾新聞社の錢妙玲社長は、同会議で「観光として重要なのはやはり食。信州はソバと味噌が有名なので、『美と健康』をテーマとしたツアーも出来るはず。また、久保田織染工業株式会社の、『糸から着物が出来るまでの工程を見学することが出来る』という体験は台湾人にとってとても興味深いと思う」と台湾人ならではのアイディアを提案したほか、「シルクロードという名前は中国をイメージしてしまう。ネーミングをもう少し考えた方が良いと思う」と提案した。

鋭い観点で意見を述べた台湾新聞社の錢妙玲社長
鋭い観点で意見を述べた台湾新聞社の錢妙玲社長

これに対し同会議の座長を務めた信州・長野県観光協会誘客促進部の原弘文部長は、「錢社長は唯一の海外からの目線であり、ネーミングについての意見は正しいと思う。ネーミングが変えられないのなら、カッコ書きにするなどの対応をしたほうが良いだろう」と賛同した。

同会議の座長を務めた信州・長野県観光協会誘客促進部の原弘文部長
同会議の座長を務めた信州・長野県観光協会誘客促進部の原弘文部長(中央)

 また、下諏訪観光協会の横川辰美事務局長は、「諏訪地域は台湾から沢山のお客様がいらっしゃっており、台湾に関してのターゲット設定は正当だと思う。しかし、欧米系観光客へのPRは東京からのアクセスなどを踏まえると少し難しいものがあるかもしれない」とした。

 最後にツアーの運営を担当するJTB中部松本支店の勅使英博営業担当課長は、「まずは委員の方々にモニターツアーで主な5市町の観光地を廻って頂き、そこに商品化するための要素をいかに取り入れるかが一番の課題となってくる。皆さんと同ツアーの質を高めていけたら」と述べた。

 

 同協議会は今後、3月中旬に委員を中心にしたモニターツアー及び第2回会議を行い、本ツアーに向け内容をつめていき、人、モノ、文化を結ぶ新たな観光周遊ルートの創出を目指す。

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