台湾観光局、地方観光促進に積極的な姿勢

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毎年9月のツーリズムEXPOジャパン開催に合わせて観光業界の関係者らを引き連れて訪日し、何日間に渡り観光PRを行っている台湾観光局の訪日団。今年は122団体、241人の関係者らが参加。この人数は過去最大級で、日本市場を重視している事が見て取れた。また、9地区の地方政府観光局も参加し、それぞれの地域の特色を紹介するなど、台北に留まらない“地方”への観光を押し進める姿勢が印象的だった。

台湾観光局訪日団の観光業界の関係者ら(一部)
台湾観光局訪日団の観光業界の関係者ら(一部)

日本の観光・旅行業界の関係者らを対象に9月21日、品川プリンスホテル新高輪の飛天の間を貸し切り大々的に行われた商談会・セミナー及び懇親会。

商談会の様子
商談会の様子

同会で訪日団の団長でもある台湾観光局の劉喜臨副局長は、「今回伝えたいのは、地方自治体それぞれの特色と魅力だ。今、地方自治体に遊びに行く事に不安を感じる必要はない」と述べた上で、各自治体で『台湾好玩卡(台湾おもしろカード)』というクーポン付きの個人旅行に便利なカードを発行している事を紹介した。

台湾観光局の劉喜臨副局長は台湾おもしろカードを紹介
台湾観光局の劉喜臨副局長は台湾おもしろカードを紹介

台湾好玩卡は約3年前にサービスが開始され、現在は、台中、台東、高雄、宜蘭の4種類のカードがあり、それぞれのカードで近隣地域と協力し、お得な旅行を提案している。

台湾好玩卡の高雄バージョン。高雄,屏東,澎湖で優待が受けられる。
台湾好玩卡の高雄バージョン。高雄,屏東,澎湖で優待が受けられる。

劉副局長によると、今年の末にはさらに2種類のカードが発行される予定だという。劉副局長は、「このカードの効果はとてもいい。これを使えば各地域の最も良いところやグルメを堪能する事ができる。また、地域同士の協力を深めていくため、カードとカードの間でも連携出来るようにしていきたい」と今後の展望も語った。

台湾好玩卡は、台湾の各県・市政府が地方資源を統合し、現地の特色ある観光スポットを推薦し、「時間・エリア限定」で交通手段と観光スポットの特別優待を提供する電子マネーチケット式カードを指す。同カードはインターネット販売がメーンで、サポートとして実体チャネルがあり、観光客は、同カードにより、現地でさまざまな特別優待やサービスを受けることができるというもの。

一方で残念な事として、同カードについて日本人観光客の認知度が低いという現実がある。これについて台湾観光協会東京事務所の鄭憶萍所長は、「マスコミの方々の力を借りたいと思う。記者の方々に台湾に行ってもらい、体験してもらった上で報道して頂く。このような策をとっていきたい」と話した。

観光懇親会にて。台湾観光協会東京事務所の鄭憶萍所長(右3)
観光懇親会にて。台湾観光協会東京事務所の鄭憶萍所長(右3)

 

“地方へは行きたくても行けない”路線便不足が原因か

台湾の地方自治体から見た日本人観光客数について、日本から台湾の地方部への路線便の少なさが原因と指摘する声もあった。

台湾観光局が9月21日に行った懇親会に訪れたJTBの団体旅行を企画する担当者は、「我々も台湾の地方へのツアーを作りたいのはやまやまだが、高雄行きの飛行機は機体小さく、大人数を一度に運べない事が理由で、現在あるツアーは台北に到着するものが8割9割になっている。いつも台湾の航空会社さんに話しをしているが、お客さんがいれば大きくするし、本数も増やすと言われてしまう。だが、我々は飛行機の座席がなければお客さんに提案が出来ない。この問題を解決する必要があるだろう」と現実的な問題点を話していた。

これについて、トランスアジア航空北東アジア地区総支配人・日本支社長の江許賢氏は、「同社には国内線があり、とても便利なので、是非そちらを利用して台湾の地方に行って欲しい。日本から地方への路線就航は企画はあるが、今のところ就航の予定はない」と話した。

ツーリズムEXPOジャパン台湾ブースにて。トランスアジア航空北東アジア地区総支配人・日本支社長の江許賢氏(右)
ツーリズムEXPOジャパン台湾ブースにて。トランスアジア航空北東アジア地区総支配人・日本支社長の江許賢氏(右)

また、鄭所長は、「多くの路線を就航して欲しいが、もしまだ難しいとの事なら、台湾には国内線や高速鉄道があり、とても便利だ。是非こちらも組み合わせて欲しい」とした。

一方、ツーリズムEXPOジャパンの一般開放日である同24日、台湾ブースを夫婦で訪れていた日本人来場者は、「国内線など、台湾現地の交通の便が良くても、やはり休みが少ない私としては、1泊2日では行ける場所に限りが出てくる。もし日本の空港から台湾の地方への飛行機が出ていれば、もっと気軽に短い日程でも台湾の様々な場所を楽しめると思う」とコメントした。

ツーリズムEXPOジャパン台湾ブースにて
ツーリズムEXPOジャパン台湾ブースにて

 

来年のランタンフェスティバル開催地・雲林県長自らトップセールス

台湾西部の雲林県の李進勇県長は9月21日に行われた商談会・セミナー及び懇親会に自ら訪れ、来年2月に雲林県で行われるランタンフェスティバルのトップセールスを行った。李県長は、ランタンフェスティバルの詳細を説明したほか、「旧正月にランタンを持って練り歩くという風習はもともと、雲林県の北港から発祥した。よって、ランタンフェスティバルの故郷は雲林だ。2017年2月雲林県で会いましょう」と述べ、日本の業界関係者らの雲林県訪問に期待の意を表示した。

雲林県の李進勇県長は9月21日に行われた商談会・セミナー及び懇親会で自らトップセールス
雲林県の李進勇県長は9月21日に行われた商談会・セミナー及び懇親会で自らトップセールス

さらに同22日から25日まで東京ビッグサイトで行われたツーリズムEXPOジャパンの台湾ブースに出展した雲林県政府ブースでは、一般の日本人来場者らにランタンフェスティバルの資料配布や説明、さらに同県の特産品や観光名所を合わせて紹介した。これに加え、雲林県のゆるキャラ「キモンチャン」の着ぐるみも登場させるなど、去年の雲林県ブースと比べ、今年は格別に力を入れていた。

雲林県のゆるキャラ「キモンチャン」も登場
雲林県のゆるキャラ「キモンチャン」も登場

同ブースで雲林県政府文化処観光行銷科の王宣蘋科長は、「雲林県には台北や他の地域に負けない観光地やグルメがある。美しい民宿も充実している。そして、日本統治時代から残る建築物なども多く残っているので、世代が上の方には懐かしさを感じてもらえる場所が沢山ある」としたほか、「来年のランタンフェスティバルは、日本の方のみならず、世界に雲林県を知って頂く上で絶好のチャンスだと考えている。今後も、ネットや展示会などを用いて、さらに日本の方々にアピールしていきたい」と意気込んだ。

雲林ブースにて、雲林県政府文化処観光行銷科の王宣蘋科長
雲林ブースにて、雲林県政府文化処観光行銷科の王宣蘋科長