台湾貿易センター(TAITRA)東京事務所(所長:呉俊澤)は11月10日、京王プラザホテルで「第三国市場における日台ビジネスセミナー~東南・南アジアにおける新たな連携の可能性を探る~」を開催した。
同セミナーは、東南アジア市場への進出を検討する日本企業の関係者らをターゲットに行われたもの。中華經濟研究院の魏聡哲博士、みずほ総合研究所中国室長の伊藤信悟氏、中国鋼鉄公司CSC業務部門助理副総経理の邱順得氏、VIETNAM PRECISION INDUSTRIAL JOINT STOCK COMPANY協理の許文栄氏、東京スター銀行法人戦略開発部の松村昌彦部長、TAITRA市場開拓処の廖隆銘氏がそれぞれ登壇し、日台中小企業連携による新興国市場の展開や日台ビジネスアライアンスの台湾成功事例などについて講演が行われ、来場者に東南アジア市場進出時に台湾企業を連携パートナーとして選択する利点などについてPRした。
台湾政府は現在、東南アジア並びにインドとの関係を深める「新南向政策」を推進しており、投資・貿易面での関係のみならず、民間交流、文化、教育など多面的なパートナー関係の構築を目指している。11月7日には蔡英文総統が「新南向政策」の推進元年となる今年の重点作業項目を発表し、「新南向政策」の対象国との二国間の投資協定や租税協定の締結、あるいは見直しを積極的に進め、台湾企業のこれらの国々に対する投資の安全性をさらに高めるなど、積極的な姿勢を見せている。
同セミナーで挨拶した台北駐日経済文化代表処経済組の張厚純組長も、「日本の中小企業は大企業の下請けとして独自の技術と品質を持っている。一方、国内の市場が限られている台湾の中小企業は常に新しい市場を開拓しており、その結果中国大陸の他に東南アジアでも活躍している。これらの地域で幅広い人脈と効率の良いサプライチェーンを持っている」と述べ、台湾企業と組む利点を説明した。また、その上で前日に米国大統領に当選したドナルド・トランプ氏を話題にあげ、「今後、世界が困難な局面を迎えるかもしれないグローバル競争の時代で、日台の企業が協力する事によって、難しい局面から脱却できる」と強調した。
また、呉所長は、「日台は短期的な不安定な時期を一緒に乗り越えた事例も多くある」とし、貿易センターとしては今後も続けてこのようなセミナーを開催し、日本から台湾への投資を促進させるほか、日台の連携を強めていく意欲を示した。