台湾貿易センター(TAITRA)は11月22日、帝国ホテル東京本館で「台湾自転車産業セミナー」を開催した。同セミナーは、台湾自転車産業の最新現状や、来年発足して30周年の台北国際自転車見本市の新スタイル、新デザイン、新イベントの紹介などを日本業界関係者らに紹介し、ビジネス・マッチングの場を提供する事を目的とした。当日は、TAITRA台北本部プロジェクトマネージャーの林莛寧氏が来日しプレゼンを行ったほか、日本自行車協会常任理事の吉川章氏、フリージャーナリストの野嶋剛氏が登壇。また、台北自転車展に出展経験を持つクロップス営業部の西原大輔部長、ワイ・インターナショナル商品部の清水健太主任、Cycle Garage PAZの延澤一紀代表が登壇し、出展経験談を話し、参加者の理解を深めた。
林氏によると、台湾は自転車完成車輸出国としての2016年1月から8月までの統計で輸出量がアジア第1位となっているという。また、世界的に見ても世界第5位、輸出額は第4位など、自転車大国と言える。また、台北国際自転車展は今年で29回を迎えており、ドイツの展覧会と並ぶ世界3大自転車展。主な出展商品は、完成車、部品とアクセサリー、電動アシスト自転車など広範囲に及ぶ。来年3月21日から25日に台北世界貿易センター南港展示ホールで開催される自転車展は第30回となる事を記念し、新たなLOGOが同セミナーでも発表された。
自転車産業の成長理由とは?
同セミナーで野嶋氏は、台湾自転車産業成長の理由について講演した。野嶋氏は、「台湾の自転車産業はOEMから始まったが、下請けだけでは中国に負けてしまうという恐れを持った台湾人電車メーカー複数社が発足させた産業改善団体の“A TEAM”が一段となって台湾自転車産業を底上げしたため、現在のブランド力などを構築できた」と解説。
また、台湾の自転車普及に深く関わる事例として、台湾一周の旅を意味する“環島(ファンダオ)”に言及。野嶋氏は、自らも環島のイベント「フォルモサ900」に参加してきた経験を用いて、「台湾では自転車専用道路があり、後ろから車に追い立てられるストレスもない。このようなサイクリング環境が整備されている事を実感した」と述べた。さらに、「台湾では、自転車は社会的な文化になって初めて産業としても生き残っていけると思う。単に自転車を売るだけではダメだ。自転車を買った後の使い方など、そこまで含めた自転車文化の育成をここ5年、台湾政府も乗り出している。政治も行政も産業も足を揃えている」と語った。