日本を訪れる外国人旅行者向けのビジネスチャンスを探るセミナー「インバウンドビジネス最前線」(主催:日本政府観光局、西日本新聞社、日本経済新聞社) が12月 19日、福岡市天神のエルガーラ ホールで開かれ、観光・宿泊・飲食業界などから約140人が熱心に耳を傾けた。
基調講演に立った三菱総合研究所、政策・経済研究センターの劉瀟瀟研究員は、中国人による爆買いの衰退がささやかれていることについて、為替レートの影響が大きく、人民元ベースではそれほど減っておらず、依然として消費意欲は衰えていないだろうと述べた。しかしながら、今後の日本観光は「東京、箱根、富士山、京都などのいわゆる『ゴールデンルート』だけの観光から地方への周遊や体験」に、また「クルーズ船の団体客から家族連れや小人数の若いグループ客」に変化するだろうと指摘し、今からそれへの対応を考えておかなければならないと述べた。
続いて行われたパネルディスカッションでは、高山市ブランド海外戦略部長の田中 明氏、ジャーマン・インターナショナルCEOのルース・マリー・ジャーマン氏、黒川温泉 旅館わかば 代表取締役の志賀 希氏が自らの体験やインバウンドビジネスに対する見通しを述べた。
高山市の田中 明氏は30年間の誘致活動の成果として、同市の人口88,381人に対して年間のインバウンド客が約4倍の35万人に達することを紹介した上で、東日本大震災を挟んでも台湾からの来客が安定した伸びを示していることを披露した。
また、熊本県黒川温泉の志賀 希氏は、経営する旅館わかばの国別宿泊者数のスライドを示しながら、熊本地震後、国内を含む来客数が全体的に落ち込んだ中で台湾からの来客数が突出して増えたことで随分救われたと述べ、感謝の念を示した。
パネルディスカッション終了後の懇親会場では、講演者やパネラーと参加者との間で「日本的なものを前面に出す方が良い」、「日本人の英語レベルは思っている以上に高いのだから、自信をもってコミュニケーションすべき」、「スマホやSNSをうまく使い、スピーディなやりとりをすることが大きい成果を生む」、「インバウンドビジネス成功の決め手は本気度」などの話が続き、盛況のうちにセミナーを閉幕した。