台北駐福岡経済文化辦事處(戎義俊處長)は12月21日、ヒルトン福岡シーホークホテルにて平成28年の忘年会を開催した。同会には台湾同胞とともに台湾に好意を寄せ応援を惜しまない九州・山口の政界、官界、産業界の人々を合わせ、およそ100人が集った。
オープニングは、台湾と日本を行き来して音楽活動をしているシンガーソング・ライター里地帰氏の美しい二胡の演奏で始まった。
音楽で会場の雰囲気が和らいだところで挨拶に立った戎義俊處長は、先ずここに集まった人々の台湾及び福岡辦事處に対する1年間の支援と協力に感謝するとともに、業務の円滑な運営を支えた辦事處スタッフの労をねぎらった。
次いで日台間の相互訪問者数が2015年の530万人から今年は600万人を超える見通しであること。3年連続で台北国際旅行博(ITF)に出展した別府市への来訪者がこの間に6千人から6万人へと10倍になったこと。台湾で「美好九州」という雑誌が発行され、九州旅行が若者の間にブームとなっていること。日本人の外国旅行先として、昨年の年末年始に続いて今年のゴールデンウイークにも台湾が一位になったことを披露し、日台双方が好感と信頼を寄せあっていることの証左であると述べた。
日本から台湾への旅行者の中には高校生の修学旅行も多く含まれており、九州・山口だけをとっても2014年の12校1,200人から2016年は32校5,000人と急増していること。これが日本語教育を受けた台湾人と台湾で生まれ戦後引き揚げてきた「湾生」と呼ばれる日本人との交流からバトンを引き継ぎ、今後の両国関係の新たな礎を作りだすことへの期待を表明した。
また2015年には台湾から九州への輸出総額が4,381億円(対前年123.6%)、九州からの輸入総額が2,864億円(同144.1%)となり、両者の経済的な結びつきがますます強くなっていることを報告した。
このような緊密な関係が来年も続くように、ここに集まった方々に一層のご支援・ご協力をお願いするとともに、2017年が皆様にとって素晴らしい一年となることを祈念すると締めくくった。
これに対して来賓として挨拶に立った参加者からも共通して、日台の関係が様々な局面でますます良好で密接になっていること。東日本大震災、台南地震、熊本地震などを通じて、互いに寄り添い助けあって育てた絆を今後とも強く、太くしてゆきたいとの決意が述べられた。
人の往来、経済の結びつきにもまして重要なものとして相互の文化の理解を挙げた九州国立博物館の島谷弘幸館長は、一昨年東京と九州で開催された台北國立故宮博物院展が大成功し、いま東京国立博物館及び九州国立博物館が共同開催している「日本美術の粋-東京・九州国立博物館精品展」が故宮博物院南院(台湾・嘉義県)で好評を博していることに両国民の心の繋がりの深さを感じざるを得ないと述べ、日台の展示会開催に尽力された戎義俊處長に深い感謝の意を表明した。
来賓挨拶の後は、食事を採りながら旧知の人々が一年間の労をねぎらいあったり、この場で初めて出合った人々が日台間の話題で盛り上がるなど、歓談の光景があちこちに広がった。
更に辦事處忘年会の恒例となった「駄洒落大会」で20人を超える人が力作を披露して、会場は笑いと拍手に包まれた。
また、お楽しみ抽選会で福岡~台湾の往復航空券をゲットした人には、祝福と羨望が入り混じったどよめきが沸き上がり、大きい拍手が送られた。
これらのイベントの後、毎年恒例となった辦事處スタッフと留学生による「愛拼才會贏」と「梅花」の合唱があり、台湾の人々のエネルギーと決意が会場に満ち溢れた。(下記をクリックすれば合唱の動画をご覧頂くことが出来ます)
最後に太平洋戦争で帰らぬ人となった33,000人の台湾の若者の霊を慰めるために18年間欠かさず台湾を訪問している日華親善友好慰霊訪問団の小菅亥三郎団長が中締めの挨拶に立ち、台湾には明治、大正、昭和の「良き日本文化」が残っていて訪問の度に元気をもらえること。5月に発足した新しい政権が主権確立のために必死に努力している中で、経済的には厳しい状況に置かれていること。このような台湾を少しでもサポートするために海外旅行は「台湾ファースト」にしようと訴え、会場の大きい拍手を受け、それぞれがそれを胸にしまって散会した。