東京スター銀行は12月6日、TKP赤坂駅カンファレンスセンターで「アジアビジネスセミナー」を開催した。スター銀行が同セミナーを開催するのはこれが初めて。東京スター銀行は2014年に台湾大手の中国信託商業銀行に買収されてから、日本と台湾の経済関係強化に力を入れており、同セミナーもその思いからの開催となった。会場には日台のビジネス交流に興味を持つ関係者ら約250人が集まるなど、日台ビジネスへの関心の高まりが見受けられた。
同セミナーに先立ち登壇した東京スター銀行取締役会長の江丙坤氏は、「私は、日本と台湾の企業間交流によって日台が協力し、共にアジアへ進出する案件を増やして行きたい」とした上で、「東京スター銀行の役割は、海外に進出する企業の力になる事だ。資料の提供や現地のサービスはもちろん、皆さんの融資のお手伝いもしていきたい。今後も日台が一緒になり日台経済協力関係の強化に力を入れて行きたい」と述べた。
また、来賓として出席した台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表は、「最近、アメリカ大統領にトランプ氏が当選し、世界経済にどのような影響をもたらすか、様々な不安が広まっている。トランプ氏は保護主義の観点からTPPへの参入を反対しているが、これは、台湾と日本にとって共通のテーマである。このような不安に立ち向かうために、日台は更に緊密な提携をし、新しい世界経済環境に向き合うべきだ。そうすれば、危機や不安を、機会や挑戦に換える事が出来るだろう」と、日台連携の重要性を語った。
なお、同セミナーでは、台湾の統一グループで33年にわたりコンビニエンスストア最大手「セブン-イレブン」を率いた経験をもち、日本企業とのアライアンスに豊富な経験と強い熱意を持つ元統一超商総経理の徐重仁氏(現・台灣全聯實業総裁)と、イオンのアジアシフトのプロジェクト初期に大きく貢献した元イオン株式会社専務執行役の田中秋人氏(現・アジア戦略本部社長)という日本と台湾の経済界の重鎮2者が日本企業と台湾企業との協働の可能性について講演した。
徐氏は、「アジアのマーケットで台湾は日本にとって、親近感があり一番信頼できる国」と強調した上で、自身の経験談などを用いて日台企業の連携について説明。さらに、「日本は私の実験室、そして台湾は日本の実験室になる。日本で既に成功しているビジネスモデルは、台湾でも実行する事ができる」と述べ、今後の日台ビジネス間における可能性に期待した。講演後の質疑応答では、既に台湾に拠点を持つ企業や、今後台湾への進出を考えている企業の関係者らから質問が飛び交った。(2016/12/8/15:30)