日台の震災連動、展示企画始動

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左から台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表、国立歴史民俗博物館の久留島浩館長、国立台湾歴史博物館の王長華館長、国立歴史民俗博物館研究系の荒川章二教授
左から台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表、国立歴史民俗博物館の久留島浩館長、国立台湾歴史博物館の王長華館長、国立歴史民俗博物館研究系の荒川章二教授

国立歴史民俗博物館(以下:歴博)及び国立台湾歴史博物館(以下:台史博)の初の共同事業の成果である「台湾と日本—震災史とともにたどる近現代—」の展示会が1月11日より2月19日まで、歴博にて開催している。

同展は、歴博と台史博が2014年7月に学術研究交流協定を結んだ事をきっかけに開催。同協定締結後、両館は日本と台湾の歴史における震災をテーマに研究を行っており、同展はその研究成果についての展示となっている。

日本の歴博では台湾の歴史的大地震の展示を行っているほか、今年の6月17日からは約半年間に渡り、台湾の台史博で日本の関東大震災、東日本大震災等日本で発生した大地震についての展示会を開催する予定である。

展示について説明する荒川教授
展示について説明する荒川教授

日本列島と台湾列島は自然地形でのつながりにより連動して地震が起きてきたが、今までこの事実に関する展示会は行われてこなかった。初めてとも言える日台の震災に関する同展示会では、日本と台湾にある密接な震災関連構造を目に見える形で多くの人々に伝える事を目的としている。さらに、日本と台湾の震災とその復興過程において、当時の日本総督府が救済と復興の面で果たした役割と研究や、統治時代の実態についても知見を深める事ができる展示内容に工夫されている。また、日本植民地時代の震災及び1999年の921大地震に焦点を置いており、国立台湾図書館や台湾大学、加えて個人の所有している貴重な資料等を、パネルにまとめ展示している。

当時の台湾大震災特集「東京朝日」等、貴重な資料も展示
当時の台湾大震災特集「東京朝日」等、貴重な資料も展示

 

開会式に両館長出席

 

同展示会の開催に当たり、初日の11日には同展の開会式が行われ、歴博の久留島浩館長、台史博の王長華館長、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表らが来賓として参加し、同展の開催を祝した。

久留島館長は「共同研究は始まったばかりだが、この展示会を通して歴史的研究課題だけではなく地質学、防災科学、歴史学間で新しい研究課題共有ができた事の実感を持てたと同時に、両館共同研究をベースに、日本と台湾の学術研究広がって行く事に期待する」と述べた。

王館長は「この展示会を通して、救援体制及び震災を通しての国際関係、震災復興の問題に目を向けるほか、震災後の地域コミュニティーの復興やアイデンティティの問題に焦点を絞り、複数のエスニック集団を取り上げていきたい。台湾震災の歴史や両国の助け合いの歴史を知ってもらい、今後両館、両国の交流が深まるのを楽しみにしている」とコメント。なお、謝代表は「日台はパートナーという関係を通りこして運命共同体の関係であり、両国の災害の歴史理解だけではなく、日本と台湾の連携がより高いベルになる事を期待している」と祝福した。

「添付写真二次使用禁止」

(2017/1/11)