日台交流複合施設「NIBUNNO」正式オープン

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泊まれるギャラリーをコンセプトとした日台交流複合施設NIBUNNO(ニブンノ)がこのほど東京都麻布十番に正式オープンした。同施設は、日本人と台湾人アーティストのギャラリーと宿泊施設をミックスさせた複合施設で、台湾国籍の李章聖オーナーの「日台のクリエイティブ業界の交流の場を作り発信していきたい」との思いから立ち上げに至った。同施設では、日本と台湾発のオリジナル作品を随時展示し、宿泊者に日本と台湾のクリエーションの魅力に直接触れる機会を創出するとしている。

NIBUNNNOを発案した李章聖オーナー

台湾と日本には優秀なクリエイターが多いのに対し、若者クリエイターの舞台が少ない事から、同施設の1階では、日本人と台湾人若手デザイナーの商品を販売し、さらに「想像力の中に住む」をテーマとした全2部屋の宿泊施設では、2階は日本人アーティストによってデザインされた部屋を、3階は台湾人アーティストによってデザインされた部屋を用意し、3か月毎にそれぞれクリエイターを変えるため、若手デザイナーが力を発揮できるチャンスがあると同時に、宿泊者にとっても3か月に1度違った空間が味わえるとの事。

台湾人アーティストによって上から半分をデザインされた部屋

さらに、5階のラウンジスペースでは、日台双方のアーティストの作品を展示するほか、地下1階のスペースではギャラリーの展示会を開いたり、クリエイティブイベントとして、日台相互のデザイン事情の交流会などを行っていくとしている。

なお、同施設の細かなインテリアの設計は「想像力を連れて旅へ」をテーマに、台湾国籍デザイナーの林唯哲氏によって行われた。旅行をする際に、単なる観光だけではなく、宿泊客に創造を連れて旅をしてもらいたいとの思いが込められている。

 

細かなデザインを担当した林唯哲氏

 

期間限定の「NIBUNNO(二分の)」

 

一方契約の事情から同施設は2020年の東京オリンピック後の取り壊しがすでに決まっている。4年後には更地に戻るという事を逆手に取り、同施設組み立て前を“1”、2020年を“0”とし、現在二分の一の状態であるという時の経過を「NIBUNNO(二分の)」と表し、また、もともと自動車の部品倉庫である同施設の各フロアを、床から1300mmを切り取って「解体途中」をイメージさせ、切り取られた上半分のみをデザインし施工した結果、解体ラインが床と天井のちょうど半分(二分の一)だったため、両方をかけて同施設名を「NIBUNNO(二分の)」とし、期間限定で、且つ二つの違う世界を味わう事ができ、ストーリー性がある施設となっている。

宿泊施設内観、一部屋4人部屋となっている

なお、同施設の大まかな解体デザインは、世界各国で実績を残してきた日本国籍の建築家虎尾亮太氏が務めた。虎尾氏によると、「解体をデザインする」をモチーフに進め、下半分の施工しない部分は白く塗り、残り上半分は変な形をしたコンクリートのもともとある性質を生かした事によりデザイン性溢れる施設となったという。「白とコンクリートの融合がクリエイティブギャラリーとして生きている」(虎尾氏)。

ラウンジではアーティストの作品を鑑賞しながら団らんスペースとなっている

同施設は昨年7月に解体を開始してより、今年2月に完工。3月1日にはプレオープンし、日本人のほか、多くの外国人の宿泊客を迎え、すでにリピーターもいるとの事。

(2011/6/11)