台湾映画研究家の稲見公仁子さんは10月14日、自身がナビゲーターを務める講座「台湾エンタメ談義」で、台湾の絵本作家ジミー・リャオ氏の作品を原作とした映画「星空」について、「ジミー氏原作の作品のなかでは一番素晴らしい作品だ」と賞賛した。
稲見さんは、これまでのジミー氏の絵本を原作とした映像化作品に触れ、「ビジュアルがジミー氏の作品の構図と絵柄に縛られすぎている」と話した。一方トム・リン監督作の「星空」について、「トム・リン監督がもともと持つテイストを出しながら、表現の部分はジミー氏の作品が生かされていた。CGも多用されており、人物の心情を表すものとして機能していた」と以前の作品との相違を語った。
同講座では、「星空」10月28日公開を前に、これまで中国大陸や香港で映像化された「向左走向右走(君のいる場所)」や「地下鐵(地下鉄)」などの作品映像一部分を流すなど、ジミー氏原作の作品を総ざらいした。
なお、稲見さんは同講座内において、台湾映画の動向についても触れた。2000年代は台湾国産映画の本数が約20本だったが、近年では平均約50本と増加したという。ここ数年では2013年が最多の71本。一方で、2011年以降1億元を超える興行成績の作品は毎年多数あったが、今年は「紅衣小女孩2」のみである事に対し稲見さんは、「本数は増えているのに、メガヒットと呼べる台湾映画がなくなってきているのは寂しい」と話した。
(元=ニュー台湾ドル)
(2017/10/16)