第57回日本クラフト展の受賞者が発表され、日本を拠点に活動している台湾人陶芸家・鍾雯婷さんの作品「恋果物語」がこのほど優秀賞を受賞した。東京ミッドタウン・デザインハブ(東京都港区)で1月6日に行われた授賞式に参加した鍾さんは「この作品は、今までとは違い、自分の中では大きな挑戦だったので、賞を受賞する事ができて本当に嬉しい」とコメント。日本で活動している台湾人として、何を表現するべきかを意識しながら創作した作品だったという。
今回受賞となった「恋果物語」は、3種類の陶磁器だ。それぞれ白い陶磁器をベースに、独特ある模様が描かれているのが特徴的だ。鍾さんによると、模様は、細胞、植物、ガラス模様をイメージして描き、花布の牡丹柄が台湾の模様として日本で流行したように、3種の模様が台湾の新しい台湾のトレンドとなってほしいとの想いから、作品を完成させたという。
なお、同展審査に携わった東京国立近代美術館の唐澤昌宏工芸課長は授賞式終了後、「色、形、模様など全てにおいて、台湾にある文化と日本で学んだ事を上手く融合せている。今後色々な力を発揮してくれるような、ワクワクさせてくれる作品だった」と、受賞理由について話し、鍾さんの作品を賞賛した。さらに、今後の作品をどうしていくべきなのか、鍾さんに対し直接アドバイスも行っていた。
日本クラフト展は、日本クラフトデザイン協会により毎年開催されており、今年で57回目を迎えた。創造性があり、素材及び技術が的確であるか、また、時代のニーズに答えた、提案性があるかなどを基準に審査が行われる。今年は11人の審査員によって審査され、経済産業大臣賞・日本クラフト大賞には小野栞さんの作品が選ばれた。なお、受賞者の作品は、同6日〜14日まで、同所で展示されている。