台北を舞台に撮影した作品を展示している写真家・忠地七緒さんの個展「She is ambivalent.」が表参道ROCKETで開催中だ(会期2月9日〜14日)。同展では、忠地さんが昨年5月、親交の深いモデルの赤坂由梨さんと台北で過ごし、2泊3日で撮りおろした約50枚の写真が展示されている。
台湾で撮影する事となったきっかけは、忠地さんが一昨年、写真家のアシスタントとして台湾を訪れた際、ご飯がおいしく、台湾人が皆優しかったため、「次はアシスタントではなく、自分が写真家として台湾に来よう」と決め、台湾での撮影に繋がったという。
忠地さんによると、台湾と日本での撮影において、主に2つの違いあるという。一つ目は台湾で使われている色彩が多い事。簀垂れた花を背景に撮影した写真に触れ、「東京でこのように簀垂れている花を見た事ない。ピンク色の花やレンガの色、青色の壁など、日本とは違った色彩の彩りがある」という。二つ目は、モデルの気持ちの開放感。台湾で撮影する事でモデルの心がオープンになり、はしゃいでいる姿など、日本では見れない違った一面も見れたという。
また、同展は二面性をテーマにしており、女性のありのままの姿を写し出している。忠地さん自身「食べている時が一番女の子の素が出る」と感じており、二二八和平公演の近くの朝ごはん屋や西門町のパイナップルジュース屋、迪化街のリノベーションカフェなどで撮影するなど、良い雰囲気の飲食店を歩きながら見つけ、撮影したという。
写真のなかには、ランドリーにある洗濯機を背景に撮影したり、道端にある看板と一緒に撮影するなど、普段何気なく見ている台湾の風景やモノが、忠地さんが撮影を手がける事で、自然さのなかにも、また違った世界を作り出しており、不思議と新鮮な気持ちになる。
忠地さんは本紙のインタビューに対し、「もちろん日本人に作品を見てもらうのも目的ですが、台湾人にも来場してもらい、自分の国の良さを見直すきっかけの一つとなれば良い」と同展に対する想いを語った。さらに、「次回は台東や花蓮の方で撮影をしたい」と、すでに台湾の虜になってしまった事も話した。
なお、展示中の作品の写真集「Ambivalence」が昨年12月に出版され日本ですでに販売されているほか、今後は台北にあるブックストア&ギャラリーの「朋丁」でも販売される。
忠地さんは、上智大学文学部新聞学科卒業後、雑誌編集者を経て2017年1月にフォトグラファーライターとして独立。ありのままの魅力を切り取る写真と読者にそっと寄りそう文章が評判を呼んでいるほか、作品制作も積極的に行っており、自身の経験を元に象徴的なかわいい女の子を撮影している。