福岡市の高島宗一郎市長が3月5日台北駐福岡経済文化辦事處を訪問し、戎義俊處長に福岡市民から寄せられた410万7,318円を台湾花蓮地震の義援金として贈呈した。
義援金は地震発生の翌日(2月8日)から28日までの間に市役所本庁舎をはじめ11ヵ所に設置された募金箱と銀行振込などで市民などから寄せられたもので、同辦事處を通じて花蓮県に届けられる。贈呈にあたって高島市長は「今回の地震で台湾の方々が大きい被害を受けたことに心からお見舞い申し上げるとともに、被害者の生活が一日も早く復旧・復興することを祈り、福岡市民を代表して義援金をお贈りしたい」と述べた。
贈呈式後の懇談では、高島市長から2005年に起きた福岡県西方沖地震に対して台湾から送られた200万円の義援金や6年前の東日本大震災時の台湾の人々の素早く温かい支援に触れ、地震など自然災害が多い両国民の間にはお互いを気遣う気持ちが出来ていること。台湾で何かあったら他人ごとではいられない。ぜひ何か役に立つことをしたいという市民が大勢いることを感じたと述べた。
これに対して戎處長からは困った時の友こそ真の友であり、今回の福岡市民の気持ちには政府を代表してお礼を申し上げたい。また、両国は防災、減災、救助における運命共同体の関係にあり、今回も日本政府がいち早く専門家チームを派遣し、生命探査装置なども投入して人命救助に当たってくれたことに感謝すると応じた。
また、高島市長は「福岡市と台北市とはスタートアップ企業の支援事業“グロースネクスト”プロジェクトで提携協定を結んでおり、西鉄とGolface社の共同事業もスタートした。また若い人同士で「顔の見える関係」が構築されはじめているが、これには戎處長のバックアップが大きい。今後もこの関係を更に発展させていきたい」と述べた。
一方、戎處長は「高島市長が進める若い企業家育成の“グロースネクスト”プロジェクトは素晴らしい。またここを舞台にした高島市長と柯文哲市長の協力関係はすでに成果を上げ始めている。どちらもパワフルなお二人が福岡・台北両市の絆を一層強くするだけでなく、今後の日台関係を更に発展させることを期待したい」と述べた。
地震という不幸な出来事のお見舞いとは言え、日本の政令都市の中で重要な位置を占める福岡市の市長が台北駐福岡経済文化辦事處を訪問することはこれが初めてであり、打ち解けた雰囲気の中で福岡と台湾の現在と将来について忌憚のない意見交換をしたことは今後の大きい成果を予感させるものとなった。
懇談後、高島市長は、応接室に掛けられた書や孫文の直筆署名などを興味深く鑑賞し、質問するなどして辦事處を後にした。