九州台湾商工会(頼玉汝会長)は6月3日(日) 会員とその家族を合わせた45名で山口県萩市へ日帰り旅行を楽しんだ。
同会は毎年会員の交流をはかるための親睦旅行を実施しているが、今年は明治維新150年ということもあり、吉田松陰、高杉晋作、木戸孝允など、明治の英傑を生んだ萩市を訪れた。
朝9時に福岡市を出発した43人に萩市内に住む大倉睦子氏(山口県華僑総会会長)と大倉仲洋氏(九州台湾商工会副会長)が合流し、総勢45名の交流となった。
福岡出発後のバスの車内で先ずは自己紹介。真面目に仕事や趣味を話す人もいれば、アルコールも入らないうちからジョークを飛ばす人もいて、そこかしこで笑いの渦ができる。
一通り言いたいことを言い終わると、日ごろ街の合唱団を指導している萬逸真さんが「皆さん歌いましょう!」と言って「雨夜花」と「夜来香」の歌詞を印刷した紙を配る。「雨夜花」は台湾語、「夜来香」は北京語で歌詞が書かれているが、ピンインとカタカナでルビを振っているので何とか声に出せる。萬さんが一度模範歌唱した後、マイクを回して皆が歌うように促す。
トップバッターは山中聡来さん。「里地帰」という名前で台湾と日本を行き来し、二胡の演奏で聴く人を魅了していてもアカペラで歌うのは勝手が違うらしく、周りからヤジ交じりの声がかかる。
年配者には「夜来香」の方が歌いやすく、マイクを持たない人からも歌声が出る。しかし途中でキーが高くなるところでは、息切れする人も出て笑いを誘う。
二曲歌った後は福岡の会合などの終わりに必ず出て来る「祝いめでた」だ。それまでオズオズと小声で歌っていたオジさんたちも元気づいて、声を張り上げ手拍子が出たところで大団円となる。
そうこうしているうちにバスは下関と門司を結ぶ関門橋に着き、和布刈(めかり)パーキングエリアでトイレ休憩と最初の全体写真を撮影した。
一息ついた後で乗り込んだバスの中では、日本語、北京語、英語の会話に花が咲き、童心に戻った大人たちが楽しげに語り合う。「子供の時の遠足のようで昨日は眠れなかった」という声も聞こえれば、「今日に備えて昨日のうちに仕事を片付けたので、少し眠い」と目を閉じる人もいる。
やがてバスは新鮮な鮮魚の販売で有名な「道の駅・萩しーまーと」に着き、そこで三々五々に昼食をとる。
昼食の後はいよいよメインイベントである「歴史散策」だ。150年前の明治維新の原動力となった松下村塾跡とその中心人物である吉田松陰を祀った松陰神社に向かう。
松陰と弟子たちの勉学心と明治を作った偉業を説明するボランティアガイドさんの声に耳を傾けながら、「もう少し若いときにここにきていれば、自分の人生も変わったかも知れない」とつぶやく人もいる。
次に足を運んだ「萩城・城下町」の円政寺では、同寺の周囲1キロメートルという狭い範囲から高杉晋作、木戸孝允という2人の元勲と伊藤博文、田中義一の2人の総理大臣を輩出したことを聞かされ、熱いエネルギーが渦巻いた時代と人の縁、土地の力に感心する。
その後「萩焼き」の絵付けに挑戦。子供たちがスイスイ筆を運ぶ傍らで、大人の多くがテーマの選択、デザインの構想、筆の運びに苦吟するなど、対照的な一面が見られるシーンもあった。
最後は地元の素材を使ったバイキング料理を楽しむなど、親睦・交流の中に、明治維新の中心となった萩のエネルギーを頭とお腹の一杯に詰め込んで、無事に12時間の行程を終え、午後9時過ぎに福岡に戻った。