台湾行政院院会は8月22日、新たな国民身分証として「数位身分識別証(New eID)」の導入を決めた。2020年10月より導入する。周辺環境の整備次第で国民身分証に加え、運転免許証や健康保険証の機能も搭載する。ゆくゆくはスマートフォンに情報を取り込み、カードの携帯を不要とする。
「数位身分識別証」は、従来の国民身分証(=ICチープが搭載されたIDカード)と自然人憑証(=政府機関のオンラインサービスで使用する公的個人認証カード)」の2つの機能を持ち合わせたものになる。当面は運転免許証や健康保険証の機能は搭載しない。カードの素材には、熱可塑性プラスチックの一種であるポリカーボネート樹脂(PC)を使用。多層構造により、剥がれ落ちたり色褪せたりすることがなく、カード表面の個人情報はレーザー彫刻を施す。ICチップに個人情報を保存し、偽造防止機能を強化したものとなる。
なお、カード正面には所持者の顔写真、氏名、統一編号(=IDナンバー)、生年月日が記載される。裏面には婚姻状態が記載される。カードに記載する個人情報を最小限に抑えることで、プライバシーを保護する。また、カード上方には中華民国(台湾)の国旗のロゴと、「中華民国国民身分証」と「REPUBLIC OF CHINA(TAIWAN) IDENTITY CARD」の文字が入る。
一方、新たなカードに搭載されるICチップのデータは2段階に分けて保護される。1層目は本籍地住所(村、里、鄰までの情報)を読み取ることができ、2層目は氏名、統一編号、生年月日、本籍地、役別(=兵役義務の終了有無等)の情報が登録される。これは、身分証番号の下6ケタを入力しなければ読み取ることができない機能。3層目は配偶者の氏名、両親の氏名、出生地、性別、写真が登録され、カード所持者が設定した6~8ケタの暗証番号を入力しなければ読み取ることができない。4層目は「自然人憑証」機能の部分で、カード所持者が設定した6~8ケタの暗証番号を入力する必要がある。5層目は国際民間航空機関(ICAO)標準の「旅行証」機能の部分で、国内の税関で使用する。
新たなカードのサンプルは来年公開し、同9月までにカード発行システムを完成させ、10月より順次更新を受け付ける。必要経費として48億台湾元(約162億日本円)を計上。2023年3月までに全国2,359万人のカード更新を終える予定。また、実際の更新状況を見て、旧カードの失効日を公告する。