古代東アジアの交通の要衝として世界遺産に指定され、風光明媚な海岸線を持つ福岡県宗像市・神湊の宗像リゾートホテル内に「日台文化交流会館」が開設され、1月9日のオープニングパーティに100人を超える人々が集まって門出を祝った。
台湾の産業を紹介する会合や学術交流会など、これまで九州で開かれた台湾関係の様々な会合で顔を合わせた人たちの間で「もっと腰を据えて語り、一緒に行動できる交流拠点」の設立を求める声が高まり、昨年夏ごろから場所を探してきたことがここに実現したもの。呼びかけ人の一人が同ホテルの二羽博俊社長と親しかったため、思い切って協力を申し入れたところ、ホテル内の部屋と施設を無償で提供してくれることになり、台北駐福岡経済文化辯事處の陳忠正處長(総領事)との数度にわたる打合せを踏まえて開設の運びとなった。
メインとなる120㎡の部屋を常設の図書・資料室とするほか、定期的に台湾映画を上映する。また11階の展望レストランの一部を季節的な台湾料理店とする準備も進めている。
代表呼びかけ人の松浦正人氏(第29代全国市長会会長)は、これまで40回も台湾を訪れ、日台の自治体の姉妹縁組などの支援をしてきたが「自然の恵みが豊かなこの地が必ずや文化、教育、芸術、スポーツ交流の最高の舞台になるに違いない」と述べた。
陳忠正駐福岡総領事は、まず交流会館が民間の人々の手で自然発生的に生まれたことに深い意義を感じるとして、これに関わった人々の努力をたたえ、謝意を表明した。
次いで観光、ビジネス、スポーツ・文化交流、修学旅行などで年間680万人もの人が行き来し、お互いを「好きな国、信頼できる国」として認め合っている日本と台湾の心の交流を、このような素晴らしい環境の中で、一層深めることで、「正式な国交が無い」という言わば「喉に刺さった小骨」も自然溶融するに違いないとの確信を述べた。
記念パーティでは、その後、ホテル側が用意した美味しい食事を頂きながら、二胡の演奏者として著名な里地帰氏による日台両国の音楽や地元「宗像音楽倶楽部」のメンバーによる名曲演奏などを楽しんだ。
最後に4月から「西日本台湾学友会会長」に就任する庄野庸雄氏(台北医科大学臨床教授、九州歯科大学客員教授)の音頭で、当会館が一層の日台交流促進拠点となることを願う万歳三唱で幕を閉じた。