2020年6月台湾のダイジェスト

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6/1 台湾唯一の夕刊紙が休刊

台湾大手の新聞社「聯合報」系列の夕刊紙「聯合晩報」がこの日、発行を休刊した。聯合報の公式サイトで同日朝、発表した。台湾唯一の夕刊紙だったが、32年間の歴史に幕を閉じた。台湾で1987年に戦後38年間続いた戒厳令が解除され、これに伴い、メディア規制が1988年に撤廃された同年に創刊された媒体だった。休刊の理由に、読者の習慣の変化、紙媒体のデジタル化に加え、新型コロナウイルスの影響を挙げた。台湾唯一の夕刊としての「段階的な任務は終えた」とし、読者への感謝をつづった。記者については全員、継続して雇用するとしている。

6/3 大林宣彦監督の作品が特集で上映

「2020台北映画祭」(台北映画節)で披露される、複数の日本関連作品がこのほどラインナップされた。先の4月に逝去した日本の大林宣彦監督の特集も組まれ、遺作となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」や代表作「時をかける少女」など9作品も上映される。開催は6月25日より台北市内で開幕した。アジアの作品を集めた「アジアプリズム」部門には、諏訪敦彦監督の「風の電話」や中川龍太郎監督の「静かな雨」が出品された。なお、スウェーデン出身のアンダース・エドストローム監督らが京都の集落で撮影した「仕事と日」は、「作者の視点」部門で上映された。また、世界の新鋭監督を対象にした「国際新監督コンペティション」では、阿寒湖のアイヌコタン(集落)を舞台にアイヌの血を引く少年の成長を描いた「AINU MOSIR」(福永壮志監督)がノミネートされた。

6/4 台中に開業予定の「ららぽーと台中」が月内に着工

台中市政府は、三井不動産が同市内に開業を予定している商業施設「三井ショッピングパークららぽーと台中(仮称)」関連の建築許可を承認したと発表。6月末に着工し、2022年秋に工事が完了する見通し。場所は台湾鉄路管理局(台鉄)台中駅から徒歩約6分の「台糖湖浜生態園区」内に建設する。同エリアは日本統治時代の製糖工場跡地で、三井不動産の現地法人が2019年3月、土地を所有する台湾糖業と地上権設定契約を結んでいた。

6/7 コロナ関連の制限緩和で「2020城南有意思」開催

台湾の非政府組織(NGO)中華文化総会は、新型コロナウイルスの影響で開催が延期されていた文化イベント「2020城南有意思」を端午節連休期間の6月25~28日に実施した。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いている事を根拠に、各種の制限を同日、大幅に緩和した。さらに、イベント開催時の人数制限も廃止した。「城南有意思」は、台北市中心部の南側、小南門や南門周辺の一帯で開催。これらのエリアは、日本統治時代、「城南地区」と呼ばれ、都市の現代化や教育のモデル地域とされている。いまでも教育や文化関連の施設が多く集まり、期間中は街歩きツアーや新古書市、農産物マーケットなども開かれた。

「2020城南有意思」開催式(写真提供:中央社)

6/9 チェコ上院議長が8月末に台湾を訪問

チェコメディアによると、チェコのミロシュ・ビストルチル上院議長は記者会見(台湾時間9日午後3時)で、今年の8月30日から9月5日までの日程で台湾を訪問すると発表した。台湾外交部は「心から歓迎する」と表明した。チェコ議会の現職議長が台湾を訪れるのは初めて。今年2月にヤロスラフ・クベラ上院議長(当時)が訪台予定だったが、1月に急死した。クベラ氏の逝去後、ビストルチル氏による台湾訪問には、中国大使館より「脅迫を受けていた」事も報じられていた。これに対し、ミロシュ・ゼマン大統領やアンドレイ・バビシュ首相らチェコ政府高官は中国を非難。チェコ上院は5月20日、上院議長の台湾訪問を支持する決議案を採択した。

チェコ上院議長(写真提供:自由時報)

6/12 台湾の放射光研究施設が日本の2機関とMOU

台湾科技部傘下の「国家放射光研究センター」(国家同歩幅射研究中心、新竹市)はこのほど、日本の高輝度光科学研究センター(兵庫県)、理化学研究所(埼玉県)と覚書(MOU)を交わした。覚書締結をきっかけに、台日双方が半導体やグリーンエネルギー材料、新薬開発などでさらに協力を深めるものとみられる。国家放射光研究センターによると、高輝度光科学研究センターとの提携は1998年頃より始まった。同年に高輝度光科学研究センターが維持・運転・管理を行う大型放射光施設「SPring-8」(兵庫県)との協力プロジェクトが始動し、その後の2000年には同施設に整備された台湾専用のビームライン2本の供用が始まった。これまで、双方がこの2本を共同で運用して行った先端材料やバイオテクノロジー分野の研究をまとめたSCI論文は550本以上に上る。

締結式紀念撮影(国家放射光研究センターから)

6/15 在台外国人の滞在期間の4度目の延長

台湾外交部は、新型コロナウイルスの影響で国をまたいだ移動が依然として困難になっている現状を考慮し、3月21日以前に査証免除(ノービザ)や到着ビザ、停留(短期滞在)ビザで台湾に入境した外国人の滞在期限を一律で30日延長すると発表した。滞在期限を自動的に延長するのは4度目。滞在有効期限内の外国人が対象。申請は不要だが、入境翌日から起算して合計の滞在日数が180日を超えはならないとしている。なお、期限を超えて滞在している外国人は、6月30日までに自主的に申し出れば処分軽減する。

6/16 台湾人死因の一位が38年連続で「がん」

 台湾衛生福利部は、国民の死因に関する2019年の統計を発表した。首位は38年連続でがん。部位別では肺がんが最多。肝臓がん、大腸がんがこれに続いた。2019年にがんで死亡した人は全体の28.6%に当たる5万232人。平均10分27秒に1人ががんで亡くなっている計算になる。年齢別では55歳以上が85%を占めた。なお、死因の上位10位は前年と変わらず、2位以下は順に、心臓疾患、肺炎、脳血管疾患、糖尿病、不慮の事故、慢性下気道疾患、高血圧性疾患、腎炎・ネフローゼ症候群・腎病変、慢性肝炎・肝硬変。また、2019年の死者数は17万5424人で、前年比2565人増。65歳以上が72.7%を占め、「高齢化による影響」と同部は分析している。さらに、上記10項目を死因とする死者数は13万5933人で77.5%を占めた。年齢別で見た死因の上位は1~24歳が事故、25~44歳ががんと自殺、45歳以上ががんと心臓疾患だった。

6/16 駐米代表に蕭美琴氏

蔡英文総統はこのほど、駐米代表に立法委員経験者の蕭美琴氏を任命した。総統府の張惇涵報道官がこの日の夜に明らかにした。駐米代表に女性が就任するのは初めて。1971年に台湾人の父と米国人の母の間に生まれた。日本生まれ台湾育ちで、米コロンビア大修士(政治学)。立法委員を4期務めたほか、アジアの中道・リベラル政党の連絡ネットワーク「アジア・リベラル民主評議会」(CALD)のトップなども歴任した。長年台湾の国際的地位の向上に取り組んでおり、今年4月からは国家安全会議諮問委員。

蕭美琴氏(写真提供:自由時報)

6/17 楽天が首位キープ~台湾プロ野球

台湾プロ野球の楽天が台南市で行われた試合で統一を5-3で破り、22勝15敗(勝率.595)で首位をキープした。この日は2位の中信も富邦に勝ち、楽天とのゲーム差を「ゼロ」に縮めたが、勝率では1分の僅差で及ばなかった。中信のこれまでの成績は24勝17敗、勝率.585。楽天は2回、陽耀勲の今季初本塁打などで3点を先制。3回にはさらに2点を奪ってリードを広げた。統一は3回に1点を、4回には2点を返したが反撃もそこまで。楽天の先発、王溢正投手が6回3失点で同僚のボニラーに並ぶハーラートップタイの5勝目を挙げた。

陽耀勲(写真提供:自由時報)

6/21 8年ぶりの天体ショー

台湾でこの日の午後、一部地域だったが金環日食が観測された。この日は一年で最も昼の時間が長いとされる夏至。金環日食は太陽が月の影に隠れる事でリング状の光を放つ。台湾中央気象局の記録によると、台湾で金環日食が観測されたのは2012年以来8年ぶり4回目。なお、次に台湾で観測できるのは195年後という。金環帯に入っていた離島の金門や澎湖、南部・嘉義県からはインターネットで金環日食の一部始終がライブ配信された。金環帯以外の地域では太陽の一部が大きく欠ける部分日食となった。

金環日食(写真提供:中央社)

6/22 コロナ禍の影響で140人削減

台湾大手紙アップルデイリーは、140人の人員削減を実施する方針を決めた。コロナ禍の影響で広告収入が大幅に減り、赤字となったため。削減するのはデジタルや紙媒体の編集部に所属する65人と営業や事務を担当する75人。削減後は、調査や取材、重大な社会ニュース、特集記事により力を注いでいく姿勢。昨年、ウェブ記事の有料化に踏み切った同紙は、報道資料では有料化を始めた時点で「厳しい道になることは分かっていた」と言及。「台湾ではまだ有料化の環境が未成熟で、推進は容易ではないが引き続き努力する」とし、サービスの改善に努めるとした。同紙は香港に本部を置くネクストデジタルグループの傘下で、香港の同名紙の台湾版として2003年の創刊

6/25 乗り継ぎ条件で桃園国際空港が再開

台湾桃園国際空港は25日午前0時より、乗り継ぎを条件付きで運航を再開した。ただし、中国との間を往復する旅客の乗り継ぎは除外される。同一グループの航空会社が運航する便を利用し、しかも空港滞在時間が8時間以内の場合に限り乗り継ぎを認める。中央感染症指揮センターによると、同空港での乗り継ぎが可能なのは、現時点ではチャイナエアライン、エバー航空、キャセイパシフィック航空が運航する便のみ。台湾は新型コロナウイルスの水際対策として、3月24日より台湾での乗り継ぎを禁止している。しかし、乗り継ぎの需要や近隣の香港、シンガポールなどのハブ空港が乗り継ぎを順次再開させている事を考慮し、再開を決めたとしている。

桃園国際空港(写真提供:中央社)

6/26 域外学生の受け入れを開始

コロナ禍の影響で台湾に戻れず、学業に支障をきたす「域外学生」の受け入れが始まったこの日、第1陣の香港人8人が到着した。いずれも今月卒業する大学生で、「やっと卒業できる」「ありがとう台湾」と喜んだ。入境を認められるのは低リスクとされる11カ国・地域の学生。主に今年度の卒業生や台湾での滞在先に校外の宿泊施設を利用できる人が最優先された。台湾教育部が17日に発表していた。対象はベトナム、香港、マカオ、タイ、パラオ、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、フィジー、モンゴル、ブータン。条件を満たす人は2238人。同部がまとめた名簿によると、この26日までに62人が台湾への入境が認められた。空港に専用窓口を設け、専用バスでそれぞれの母校に向かった。その後の28日には第2陣の4人が到着した。

域外学生が到着した(写真提供:中央社)

6/29 タクシー運転手を対象に日本語講座

台湾の古都として知られる台南市(黄偉哲市長)で、新型コロナウイルスの影響で収入減となったタクシー運転手の救済措置として同市が開講した日本語、韓国語講座の成果発表会が行われた。出席した黄市長は「日韓の出入国制限が緩和された後を見据えた準備」と話し、アフターコロナ時代の観光振興に意欲を示した。さらに、「同市は日韓の観光客が特に多く、運転手が簡単な会話ができれば親しみが湧くに違いない」と成果に期待した。
両講座は、新型コロナの影響が大きい観光・運輸業関係者を対象としたスキルアップ講座の一環で、外国人観光客により良いサービスとサポートの提供を目的に5月に開講。それぞれ30時間の授業を行った。