台湾最大の貿易関連経済団体「台北市進出口商業同業公会(黄振進理事長)」が新型コロナウイルス対策の医療用マスク5,000枚を福岡商工会議所(藤永憲一会頭)に贈り、8月26日に贈呈式が行われた。
同会と福岡商工会議所は昨年12月、貿易・投資・市場の情報交換、国際見本市セミナーや商談会の実施、会員企業の相互訪問など、経済交流促進に関する覚書(MOU)を締結し、協力し合っている。
現在の防疫体制下で来日できなくなった黄理事長に代わって贈呈式の挨拶に立った台北駐福岡経済文化弁事処の陳忠正処長(駐福岡総領事)は「進出口商業同業公会は早くからマスクを贈るべく準備をしていたが、やっと民間ベースでの輸出が解禁になった。またこの贈呈は両所が交わしたMOUの主旨にのっとったものであり、かつ日本への台湾の心、恩返しの気持ちを伝えるものである」などと趣旨を説明した。
これを受けて、福岡商工会議所の藤永憲一会頭は「感染が一刻も早く収束し、MOUの精神に沿った交流ができるよう願っている。マスクは福商の地場企業経営支援窓口などで活用したい」と謝意を述べた。
贈呈後の懇談の場では、福岡商工会議所側から「台湾と日本は価値観を共有しており、特に九州とは距離的にも近い。人情や食べ物の嗜好も共通するところが多い。今回のマスク贈呈は、我々への気遣いの表れだ。会議所の会員企業で台湾に進出しているところはまだ少ないが、MOUの実行で今後大いに交流を深め、ビジネスの関係を強めたい」との話が出された。
また「最近日本では人に会ったとき『昨日はコロナの感染者が何人出たか』ということから話が始まる。経済の活性化と感染の押さえ込みの両立は難しく、今のところ政府の支援策で大きい混乱はないが、今後様々な問題が出てくるような気がする。台湾は非常にうまくコロナの抑え込んだようだが、経済活動の状況はどうか?」との質問が出された。
これに対し台湾側からは「引き続き警戒の手は緩めてないが、日常的な経済活動のレベルは通常に近いところまで上がってきている。プロ野球の試合でも10,000人の観客を入れて行うことができるようになった。しかし、完全復旧にはワクチンや治療薬の開発を待たざるをえない。アジアや世界の経済を復旧するためには日本のリーダーシップが欠かせない」との発言があり、そのためにも昨年締結したMOUを実行・発展させて行くことの重要性が確認された。