東日本大震災の発生から今年で10周年を迎えた。日本の各メディアはそれぞれに特集号を発刊し、震災と災地復興について報道。中でも、当時に台湾から多大なる寄付金などの支援について言及した。さらに、台湾の慈善団体及び芸術団体が被災地に赴き、被災者らを励ました事にも触れた。災害から10年を経た現在も、日本と台湾の友情は脈々と続いている。
東日本大震災は2011年3月11日午後2時46分、宮城県牡鹿半島の東南東沖130キロメートルを震源とする大地震が発生した。地震の規模はマグニチュード9.0で、日本の観測史上最大の地震だった。地震と津波により、東北地方は大きな被害が発生し、多くの地域が被災した。さらに福島第一原子力発電所事故の影響で、土壌、海水、および地下水へ放射性物質が放出された。汚染は日本国内、国外に広がった。
警察庁は2012年の報告書で、犠牲者は15,889人、行方不明者は2,609人、重軽傷者は6,152人だったと発表した。
震災の発生後間もなく、世界各国から日本に向けての支援がはじまった。台湾からは翌日救援隊を被災地に派遣し、慈済基金会をはじめ、台湾の慈善団体が現場入りし、被災者らにカレーライスなどの食料を提供した。このほか、芸術団体が自発的に被災地で巡演して被災者を励ました。
同時に台湾では、テレビ局がスペシャル番組を編成し、視聴者に寄付を呼びかけていた。当時の総統、馬英九氏もその番組に協力した。与野党を問わず、台湾の政治家も日本に支援金を寄付した。さらに、台湾の教育機関「学校」からも「がんばれ、日本!」の旗を掲げ、先生と学生らに寄付の勧誘が推進され、結果として、台湾からの寄付金の総額は200億円を超えるに至った。これは、日台関係に絆の種を植える大事な動きだった。
日本人は、こうした台湾人の行動に感銘し同時に感謝した。この十年間、日本人を対象にした「台湾へのイメージ調査」で、多数の日本人は台湾に対して「好意を持っている」との結果が出た。街の多くの商店で「ありがとう、台湾」のステッカーが貼られるなど、台湾人に対し、好意ある態度を具体的に示している。
2013年日本で開催されていたワールド・ベースボール・クラシック日本対台湾戦の3日前、ある日本人はTwitterにつぶやいた「東日本大震災への台湾から多大な支援へのお礼の横断幕やブラカードをお願いします」と投稿。多くの観客はそれを応じ、試合当日「謝謝台灣」の看板を持つ日本人観客が現れ、双方の選手に暖かい応援を送った場面などは、その象徴でもある。この事も日本のテレビ局に捉えて報道されていた。
加えて、日本と台湾の相互の旅客人数もこの十年間に増長した。元来、日本人の多くが旅行先として選択している台湾。その台湾人からも愛されている日本で、先に実施された査証免除により、毎年来日する台湾人客の数が増加の一途をたどる。
一方、台湾旅行に興味を感じた日本人もこの数年間に増加した。加えて、南国な雰囲気で地元の人が優しいと感じさせられ、毎年訪台する日本人の数が肉眼で見える勢いで増えた。さらにアニメの分野でも、宮崎駿監督の名作「千と千尋」の影響により、台湾の九份は目下、日本人から大人気の観光スポットになっている。
日本対台湾窓口「日本台湾交流協会」は、大震災から10年の節目に向け、2021年を「日台友情」の年に指定。その最初の動きは、協会のLOGOを更新した。そして今年2月に行われた「国際アニメフェスティバル」では、100人以上の人気漫画家のサインを一同に展示し「日台関係の厚い友情」を示した。さらに、今年1月23日、台北市の「Taipei 101ビル」の上層階の窓に「日台友情」というメッセージを映した。これからも、奈良美智さんの展覧会や「日台の心コンサートマーケット」などのイベントを開催する予定だ。
蔡英文総統は東日本大震災の10周年に向け、動画メッセージを寄せ「台湾人と日本人は、心と心で深いつながりを築いています。その絆こそ、台日関係の最大の原動力であります」と述べ、さらなる日台関係の発展に期待している。