台湾の英雄「鄭成功」の縁で繋がる台南市の黃偉哲市長と長崎県平戸市の黑田成彥市長が６月23日駐福岡台北経済文化弁事処(陳忠正処長＝総領事)に設けられた大型スクリーンを通じて、オンライン会議を行い、事前に送り合っていた両地の特産品を試食して感想を述べながら販売協力を約束し、さらにコロナ収束後の交流活動について意見を交換した。
鄭成功は1624年、中国「明」の鄭芝竜を父、日本の田川氏の娘を母として長崎・平戸で生まれた。「明」の後に興った「清」に抵抗して厦門(アモイ)、金門両島を根拠に明の復活を図る傍ら福建、広東、浙江の沿海を経略して日本、ルソン、交趾(ベトナム北部）、シャム（タイ）などとの交易で力を蓄え、1661年には台湾をオランダの支配から解放して民族的英雄となった。
平戸には鄭氏の廟や楼門が建ち、毎年７月の生誕記念式典には日本をはじめ、世界各地の鄭氏の子孫や団体(全世界鄭氏宗親会、台南市鄭氏宗親会、安海文化創意発展協会など)が参加するが、去年に続いて今年もコロナ禍の影響で直接的な交流ができず、この日のオンライン会議となったもの。
会議の冒頭、東京の謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表(大使)から寄せられた次のメッセージが披露された。
「本日、台南市と平戸市とが、偉人『鄭成功』が結んだ縁により、21世紀の現代において、そして、世界中を巻き込んでいるこのようなコロナ禍において、お互いを身近につなぐオンラインイベントが開催されることを、心から嬉しく思います。台湾と日本とは、これまでどのような状況にあっても、お互いを尊重し、思いやり、助け合うという『善の循環』の関係を築き上げてきました。今日のイベントはまさに、心通う日台関係のあらわれではないかと思っています。今後は、お互いの友情をさらに深めるため、観光やグルメの交流をはじめ、経済、教育、文化などの交流がより一層推進されますことを、心から期待しています。」
黃市長、黑田市長からコロナ後の交流への期待の言葉が交わされた後、両市ご自慢のお菓子や軽食を食べながらのグルメ談議が続き、これまでの交流に加えてこの日に試食した名産品の販売に力を貸し合うことを確認した。
そして最後に、下記内容を盛り込んだ「平戸市と台南市観光グルメ推進宣言」に両市長がサインしてオンライン会議を締めくくった。
「平戸市と台南市は、『鄭成功』ゆかりの地により、双方は良い縁を結ばれ、交流推進に最大限に努めている。今や日台関係が一番良い時期にあり、お互いの友情を更に深めるため、この度のオンライン会議を通じ、観光グルメ交流を始め、経済、教育、文化などの交流を推進するとともに、日台友好精神を次世代へつなげていくことをここに宣言する。
2021年6月23日 台南市長・黃偉哲 平戶市長・黑田成彥 」
