台湾の私立科技大学校院協進会(葛自祥理事長)と福岡県豊前市(後藤元秀市長)は、8月20日、駐福岡台北経済文化弁事処(陳忠正処長)において、教育協力のための覚書を締結した。その目的とするところは、教育交流活動を促進し、教育協力を強化し、教師と学生の質を向上させ、長期的な友情を築くことにあり、具体的には、双方の学校間相互訪問、学生の研修、学習、研究、職場でのインターンシップを促進すること、並びに台湾側が豊前市の国際教育環境を支援することとしている。
コロナ禍にあるため、調印式はオンラインで開催され、日本側では弁事処の会議室に関係者が集まり、大画面を通しての挨拶、調印、意見交換となった。
最初に挨拶した協進会の葛自祥理事長は、「2002年に設立された協進会には66の加盟校、約43万人の学生が所属しており、加盟校と国内外の企業との連携促進を支援し、学生の国際的で高品質の技術的才能獲得の訓練を行い、技術的・職業的な質を向上させることが協会の主な目的である。そのため、今回の提携によって日本の優れた技術教育に触れる機会を得たことは大きい意味を持っている」と述べるとともに「豊前市に設立された国際教育特別ゾーンにおけるさまざまな国際教育プロジェクトの実施、両国の学校間訪問、質の高い研究の実施、職場インターンシップ、および華文(台湾で使う標準語)の実践教育の支援などを通じて地元の日本企業とさらに深くつながることができれば、国際教育と産学連携の両面における二国間関係を深めるだろう」と期待をにじませた。
これに対して後藤元秀豊前市長は「豊前市は小さな自治体にすぎないが、台湾に近い九州にあり、これまで台湾とつながりが深い歴史の中で多くの先人が親交を持ってきた。この豊前市が7月20日に駐福岡弁事処との間で、台湾の大学生が豊前市に滞在して専門分野や日本語、日本の文化を学ぶサテライトキャンパスを作るための連携協定を結び、さらに本日、協進会と連携協定が出来たことは豊前市にとって、最大の光栄であり、大きな喜びである。これを成功させることが日台相互の発展につながるものと確信する。日本と台湾の若い世代が互いを知り合い、共に学ぶ姿を想像しただけで胸が躍る。豊前市を代表して、覚書に謳われた目的を実現するために全力を尽くすつもりである。成功を目指してがんばろう!」と決意を述べて調印に進んだ。
最後に立会人を務めた陳忠正処長が豊前市を選んだ理由について、同市が九州・山口地区で最初に台湾のWHO参加を議会決議した自治体であり、いち早く国際社会での台湾の活動を支持してくれたことへの感謝の意味も込めたものであることを披露し「今後豊前市が協進会と一体になって優れた教育環境を作り、教師と学生が教育研究の成果を上げ、それが日台関係のさらなる発展につながることを祈念する」と挨拶して調印式を締めくくった。