日台友好団体の「日本李登輝友の会」は8月27日、東京都内で第71回台湾セミナーを開催し、約40人が参加した。今回は戦前に日本が統治した台湾、朝鮮などについて取材、研究している産経新聞編集委員の喜多由浩氏が「台湾の日本人」と題して講演した。
喜多氏は日本統治時代(1895~1945年)の台湾について膨大な史料にあたり多数の関係者にインタビューを行い、2020年4月~22年3月に産経新聞で「台湾日本人物語 統治時代の真実」を53回にわたり連載した。読者から大きな反響を呼び、連載を一冊にまとめ加筆した「台湾の日本人 証言と史料が示す『親日』のルーツ」(産経新聞出版)を今年6月に出版した。
同書では「統治時代、日本人は愚直なほど一生懸命だった」として、後藤新平(総督府民政長官)、新渡戸稲造(臨時台湾糖務局長)、磯栄吉(総督府農事試験場技師)、高野孟矩(総督府高等法院長)、斎藤茂(総督官房秘書官)、長谷川謹介(総督府鉄道部長)など多数の人物を取りあげ、貴重な写真とともに功績や人物像を描いている。元総統の李登輝氏にも、母校である旧制台北高校についてインタビューし、同書の中で「李登輝元総統に旧制高校生の矜持」としてまとめている。
喜多氏は講演の中で、後藤、新渡戸らの功績をあらためて語り、ハワイ、ジャワからサトウキビの品種を導入して改良を重ねて成功した製糖産業、水稲栽培で改良に改良を重ねて生み出した蓬莱米などを例に挙げ、「(日本の統治手法は)土地を耕し、種を植え、花を咲かせ、実を得るという農耕民族的統治だった」と強調した。そのうえで、「志と情熱や愛情を持って海を渡った日本人、台湾の土になった人も多く、台湾の人々はそれら日本人を評価、顕彰しくれていて、若い人たちにもその事実を知って誇りに思ってほしい」などと語った。同書は税込み1650円、詳細はHP(書名で検索)で。