世界最大の半導体生産を誇る台湾TSMC。熊本県菊陽町に生産拠点を設け、目下、自動車産業向けに稼働を開始すると見られている。工場の稼働と並行して、技術スタッフ及びその家族の生活インフラの整備も求められている。本紙社主の錢妙玲はこのほど、熊本県菊陽町を訪れ、菊陽町町舎で町長後藤三雄氏、副町長吉野邦宏氏、経済部長山川和徳氏、町議会議員佐藤たつみ氏ら8人とTSMCの工場稼働に関する生活インフラ全般にわたる意見交換をした。
菊陽町の工場拠点は、TSMCに関連する部品企業の進出もある。「台湾は、周辺工場として部品サプライヤの日本進出も視野に入れており、16兆円もの予算を組んでいる。中国からの一部の部品企業も台湾への新規投資もあり、回帰投資の対象ともみている。さらに20カ所の半導体建設計画もある」と現状を伝えた。さらに「TSMCの工場は22から28ナノメートルの半導体生産を自動車生産向けに提供するとみられるが、日本側も生産技術の獲得も視野に入れなければならない。そのためには生産に関わるあらゆる生活インフラの整備は不可欠」とも指摘する。
佐藤議員は「台湾からの技術者とその家族の生活インフラの整備は、居住問題、共存社会の創造、地域単位の交流会、さらにはインターナショナル学校の開設など教育面での拡充が課題となる」と指摘する。
菊陽町側は「台湾企業の進出、人員が来られることに町民は歓迎しています。言葉や文化の壁などはありますが、行政はその対策に重きを置き組織ぐるみで対応していきたい」とした。
一方、錢社主は「TSMCはひかえめな企業として知られています。人との交流は必要であり重要です。熊本との縁は7年前の熊本電鉄との関わりからです。直行便の開設や人員交流も行っています。来年7月を目処に台湾企業を菊陽町に来てもらって交流したいです。いまは、菊陽町からのご意見やご希望をお聞きしできる限り実現したい」と話した。