台湾映画祭上映実行委員会(毎日新聞西部本社)が主催し、台北駐福岡経済文化辦事處(総領事館)などが後援する「台湾映画祭」が10月13日~15日の間、福岡アジア美術館で開催された。
これは福岡市経済観光文化局が毎年秋に「アジアの今が体感できる事業」として実施している「Asian Party」の関連企画として催されたもの。
上映されたのは「運命のマッチアップ」、「あなたを想う」、「餘生-セデック・バレの真実」、「目撃者・闇の中の瞳」の4作品で、国内では見る機会が少ないものが多いだけに、見逃しのないように毎日の上映順序を入れ替えるなどして3日間開催された。
会場入り口では台湾のお菓子や食品が並べられ、コロナ禍で渡航したくても出来なかった人が買い求めるなど台湾を懐かしむ風景が見られた。
初日のオープニングセレモニーでは、毎日新聞西部本社の荒瀬 優営業部長が協賛・後援団体への謝辞を述べるとともに、領事館の好意により無料で配られた台湾ビールに触れ、「館内では飲まず、持ち帰った上で夕食時に映画を振り返りながら味わってほしい」と挨拶し、笑いを誘った。
次いで来賓を代表して挨拶した陳銘俊総領事は「映画は人類共通の言葉であり、毎日新聞社には毎年の映画祭を通じて台湾の歴史や文化を紹介していただき感謝している」と切り出した。
またこの時期は、東京では国際映画祭、福岡ではアジア映画祭が開催され、まさに「映画の季節」と言ってもよく、日常を離れて人間の心の中の深いところにある感情や共通して抱く価値観、正義感などを思い起し、改めて人生や社会を考え直す機会でもあると述べた。
ただ「外交官としての立場に立ったとき、自然災害やコロナ禍など何かあった時に真っ先に駆け付けて助けあい、多くの人々が行き来して好意を持ち合っている市民感情と政治の世界における日本と台湾のボタンの掛け違いに矛盾を感じており、映画を通じて得た相互理解を国と国の関係にまで高めたい」と期待を語った。
開演最初の映画「運命のマッチアップ」は台湾の国民的スポーツであるバスケットボールを題材に、ストリートプレイヤーだった兄と弟が別々のチームにスカウトされ、最後に対峙する物語。技術を磨く過程における二人の考え方の違いと、他方で、お互いを気遣い合う愛情を描いた物語で、観客の中には何度かハンカチを目に当てる人も見られた。
「餘生-セデック・バレの真実」は、日本統治下の台湾で起きた先住民族セデック族の大規模な抗日運動である「霧社事件」の真相を求めて何代目かの子孫が旅をするドキュメンタリー映画だが、長編である上に展開する画面が多く、一度の視聴では理解が難しかった。
「あなたを想う」と「目撃者・闇の中の瞳」の2本は、記者には時間がなく、見ることが出来なかったため、次の機会に期待したい。