親台湾派の地方首長(市長、町長、村長ら)の集まりである「日台共栄首長連盟」の第2回総会が11月17日、東京都内で開催され、経済・文化面の交流促進を超えて安全保障分野などの日台間の緊密化をめざす立場から、台湾関係法(日台交流基本法)の制定や日台政府間の直接対話などを求めていくことを申し合わせた。総会後、来賓として招かれた台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(駐日大使に相当)が「これからの日台関係」と題して講演した。
同連盟は昨年12月、第1回総会を開催して発足した。石川県加賀市の宮元陸市長が会長、埼玉県本庄市の吉田信解市長が幹事長を務める。発足時は129人の首長だったが、第2回総会時には132人に増えた。日本の地方自治体の総数約1700を考慮すると、相当数の自治体の長が参加していると言える。そのうち約50人がこの日の総会に顔を出し、台湾をめぐる問題への関心の高さを示した。
総会には日華議員懇談会の古屋圭司会長(衆院議員)、総会後の懇談会には菅義偉前首相らも出席した。
謝長廷代表は講演で、地方首長の集まりということを念頭に「(自治体同士の地方交流は)草の根の人々の距離が近く、顔が見え、心が通じている。私は地方交流を重視している」と強調した。日台間の姉妹都市などの締結は152あり、半数は謝代表が着任して以来の6年間に締結されたと明かした。その一方で、「議員外交、民間交流、地方交流などを進めなければならないが、やはり限界があり、(相互防衛体制を構築するためには)、日台の政府と政府が直接顔を向き合わせて協議しなければ、どうにもならない」と述べ、政府間の直接対話が必要だと強調した。
現在は日本、米国、台湾の安全保障に関する話し合いは、国会議員同士による「日台米戦略対話」にとどまっており、日台の政府間対話の実現は、喫緊の大課題になっている。
ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、中国による台湾への武力行使でる「台湾有事」が現実的な可能性として注目されていることから、総会の雰囲気は「台湾有事は日本有事」という安全保障問題が色濃くなった。「常軌を逸した中国の行動を許すないよう、力を合わせて中国をけん制していこう」などの声が飛んだ。最後に、台湾本島から約110㌔の近距離にあるいわば最前線に位置する沖縄県与那国島の糸数健一・与那国町長が手締めを行い、総会、懇談会は幕を閉じた。
台湾をめぐってはこの日、岸田文雄首相と中国の習近平国家主席の日中首脳会談がタイで開かれ、報道によると、岸田首相が「台湾海峡の平和と安定の重要性」を習主席に訴えた。また、与那国島に自衛隊機動戦闘車を運び込むなど対中国を念頭にした自衛隊と米軍の共同統合演習「キーン・ソード23」が行われ、台湾問題の重要性を印象付けている。