台湾の独立を目指す「台湾独立建国聯盟日本本部」は2月26日、東京都内で、「台湾の現状と展望」と題した時局講演会を開いた。講演者は同聯盟員の林省吾氏、同聯盟日本本部委員長の林建良氏の2人。講演後の質疑応答を含め、2人は来年2024年の総統選や台湾を取り巻く安全保障環境などについて日本人向けに日本語で熱弁をふるった。開催は4年ぶり。日本で最近「台湾有事は日本有事」として台湾に関心が高まっていることから、100人以上が会場につめかけ、熱心に耳を傾けた。
林省吾氏は1981年高雄生まれ、2005年に来日、日本台湾基進友の会会長。林建良氏は1958年台中生まれ、87年来日、会員制動画サービス「Taiwan Voice」の解説者。
2人の講演者は総統選について、まず昨年の統一地方選で政権与党である民進党が大敗した原因に触れ、党内の蔡英文支持派と反対派の間で、来年の総統選、立法委員(国会議員)の候補者選びの主導権を巡って「内輪もめ」があったため、成功しなかったと断じて、民進党そのものの支持が低下したわけではないことを強調した。蔡総統は大敗の責任をとって党主席を辞任し、蔡総統と距離を置く頼清徳副総統が党主席に就いた。同党の総統選の公認候補は頼副総統が有力になり、党員投票を経て4月には正式に決定すると説明した。
2人の講演者によると、国民党は複数の実力者が公認候補の座を争っており、今のところ一本化できていない。党公認の候補者の正式決定は7月ごろになる見通しという。第2野党である台湾民衆党の柯文哲主席(前台北市長)氏も、総統選出馬に強い意欲を示している。
林建良氏はそうした状況を踏まえたうえで「民進党は統一地方選で敗れたとはいえ、(少なくない)得票率を得ており、やはり大きな流れが(民進党に)来ている。次の総統選では前回(蔡氏が国民党候補に300万票近くの差をつけて勝利)のような大差での勝利は望めないものの、民進党優勢は動かない」と自らの考えを語った。