中国浙江省温州市検察庁は4月25日、同市国家安全局の請求により、罪名「国家分裂をする疑い」で台湾出身の楊智淵氏の逮捕命令を発令し逮捕した。
楊氏は台湾台中市出身。台湾民族党の副党首に2019年就任。2020年の立法委員選では一辺一国党の公認候補として出馬したが落選。同年に中国に赴いたという。同氏は台湾独立を主張している。
ペロシ米下院議長(当時)が2022年8月に台湾を訪問した際、中国温州市国家安全局より「長期にわたって台独運動をし続け祖国を分裂する疑いがある」として身柄を拘束された。
中国官営メディア「中央テレビ」は報道で同氏を「少数派で頑固な台独分子」と称し「台湾を祖国から独立させて国連加入をしようとしていたため、我が国の『国家分裂をする疑い罪』を犯し、中華民族の根本的な利益を侵害した」とし、温州市検察庁の逮捕命令を擁護した。
報道の最後には「我が国の国家安全機関は今後も『反分裂国家法』と『国家安全法』を基に、台湾独立勢力に大きな打撃を与え続ける」と述べ、台湾市民への脅迫を改めて示した。
中国による台湾人の逮捕が増えている。台湾籍で非営利団体のメンバーである李明哲氏によると「少なくとも4人の台湾人が中国に拘束されている」と述べた。李氏自身も2017年に中国本土で「転覆国家政権罪」として逮捕され、中国の刑務所で5年間の監禁生活を経て2022年に帰国した経緯がある。