台湾農業委員会の陳駿季副主任委員は4月5日、台湾メディアの取材に応じ、2019年に新品種として誕生した通称「台農23号」こと「マンゴーパイン」が中国でも栽培されている事実を確認した。
中国側の報道では「台湾から種苗を輸入した」などと伝えられているが、陳氏によると「同品種の海外栽培は認められていない」と遺憾を表し「中国の堂々とした態度にまさに泥棒」と断罪した。同委員会はまた「中国側に栽培許可などの確認文書の提出を求めることは難しい。パイナップルはヘタさえあれば栽培できることから、流出ルートを調べることがほぼ不可能」と調査の難所を語った。
台湾のパイナップルは種苗の輸出においては、同委員会の許可が必要な農産物に定められている。これに加え、不正な種苗の輸出については、従来の行政罰からより重い刑事罰を科す内容を盛り込んだ関連法の改正案を今年3月に立法院に送られたばかり。改正案は、違反した場合3年以下の有期刑か拘禁刑に処し、罰金60万以上300万NTD以下(約260万~1300万円)を併せて科す、としている。
日本で大ブレイクしている台湾産パイナップル。中国で栽培された同品種産品が日本に輸出される可能性について、陳氏は「『台農23号』は2021年に日本の農林水産省に品種登録を出願して受理された。正式に品種登録されれば、中国で栽培された『台農23号』は日本に輸出できないはず」と説明している。