【台湾ニュース】台中メトロ、クレーン落下で10人の死傷者

0
クレーンと衝突した車両(写真:中央社)

台湾台中市で5月10日、工事中の建物の屋上に設置されていたクレーンのアーム部分が台中メトロの線路上に落下し、走行中の列車がこれに衝突。乗客の女性1人が死亡し、このほか乗客9人もけがで病院に搬送された。建築法や職業安全衛生法に違反したため当局は処罰を発し、事件化した。

 事件の建物は31階建て。当時はクレーンの撤去作業が行われており、落下したアーム部分は建物の1階部分にあるアーチや地上に止まっていたクレーン車に接触した後、台中メトロの防音壁を突き破って線路をふさいだとみられる。

台中メトロによる記者会見(写真:中央社)

 一方、台中メトロの列車にはオートパイロットシステムが導入されているが、そのまま駅を出発し、加速をしている最中で線路上のクレーンにぶつかったという。反応時間が足りなかったと見られ、メトロ側は報道陣に対し「駅員がすぐ報告して列車の運転中止を要求したが間に合わなかった」と説明した。

 台中市消防局の関係者は「亡くなった女性の乗客はクレーンと衝突した弾みで外に投げ出された」と語った。なお、けがをした9人のうちカナダ人男性が含まれていたことが確認された。

盧秀燕台中市長が傷者にお見舞い(写真:中央社)

 この事故を受けて台中市の王育敏副市長は「事故があった建物の工事を即時停止した」と説明。同市都市発展局の李正偉局長は「建築法に違反したとして工事の申請者や請負業者、監督者などに対して総額27万NTD(約119万円)の過料を科す」と発表。台湾労働部の関係者も、職業安全衛生法に違反したとして30万NTD(約132万円)の過料を科す方針を決めた。  

台中メトロは2021年4月25日に開業。現在は台湾新幹線とつなぐメトロ高鐵台中駅から北屯総站駅までのグリーンラインを運営しているほか、ブルーラインと空港ラインの建設も検討している。