台湾行政院の林子倫報道官は6月1日、国家賠償法の改正後、中国人は台湾域外の「境外人」として国家賠償の請求が可能になるとの見方を示した。
法改正のきっかけは、台湾高雄市で2018年、中国人男性が漏電した街灯に触れて死亡する事故だ。遺族が起こした訴訟では国家賠償が中国人にも適用されるかが争点となったが、裁判所は1993年台湾法務部による「中国大陸人民も中華民国国民である」とする解釈通達を根拠に賠償を認める判決が下された。
行政院は今年5月24日、同解釈の適用を停止すると各部会に通達。今後も適用しないよう求めた。
林氏は記者会見で「30年前の解釈通達は時代に合致していない」と指摘し「両岸の人民の権利や義務、関係がより法律や現状に合うよう、対中政策を担当する大陸委員会が関連の内容を見直す」と説明した。
また同氏は「人権の保障に国境がないという原則に基づき、改正案が成立すると域外人も国家賠償の請求ができるようになる」とした。
なお、台湾現行の国家賠償法では「外国人」について定めているが、「台湾地区・大陸地区人民関係条例」では「台湾地区」と「大陸地区」に分けており、大陸地区は外国人に含まれていない。