台湾行政院農業委員会はこのほど、台湾で飼育される豚への家畜伝染病「豚熱(CSF)」のワクチン接種を7月1日から全面的に停止すると発表した。2024年6月以降、国際獣疫事務局(WOAH)に対し、豚熱の発生がないことを示す「洗浄地域」の認定申請に向けて準備が始まっている。
同委は日本統治時代から続く豚熱撲滅のため、21年から対策を実施。全面的なワクチン接種の他、リスク管理などに取り組んでいた。今年前半には種豚を除いてワクチン接種を取りやめたところ、豚熱の発生がなかったため、専門家チームによる審議などの結果、全面的な接種の停止が決まった。
同委動植物防疫検疫局によると、今後1年間豚熱の発生がなかった場合、WOAHに洗浄地域の認定申請をするという。早ければ25年にも認められる見通しで、その際にはアジアで唯一、三大家畜伝染病である口蹄疫、アフリカ豚熱(ASF)、豚熱を撲滅または阻止した国になるとしている。
また豚熱の撲滅で養豚場の作業員やワクチン購入費を削減でき、ワクチン接種の副作用などによる損失を減らし、効果的に養豚コストを抑えられると強調。豚肉製品などの国際的競争力を大幅に向上させられ、台湾の動物の衛生レベルを高められるとしている。
さらに6月21日に国際クルーズの再開に向け、同局は「アフリカ豚熱を防ぐため、港のターミナルでは空港並びの検疫検査と取り締まりの強化措置を行っている」と説明した。
なお、日本では6月、鳥取県福部町で発見されたイノシシの死骸から、豚熱のウイルスが確認され、鳥取市内での感染確認は今年3月以来2例目となった。同市はシカやイノシシの処理場などの関係施設に、消毒の徹底などを呼びかけ注意を促している。