台湾台北市内にある総統府前の凱達格蘭大道で7月16日、住宅問題の解決や司法改革を政府に訴えるデモ活動が行われ、来年1月に投開票される次期総統選に野党・国民党と同民衆党から出馬する侯友宜新北市長と柯文哲前台北市長らがステージに登壇した。
野党、不動産高騰と司法改革に問いかけ
デモ活動は2014年の学生運動から生まれた小政党、時代力量の黄国昌前立法委員や実業家でユーチューバーの陳之漢氏が発起人となった。
柯文哲氏は演説中で、政権交代が過去に3回起きたことに触れた上で「我々の生活は本当に良くなっただろうか」と問いかけ「不動産価格が高騰し、詐欺は増え司法は信頼を失っている」と指摘した。蔡英文総統に「(総統選に改めて当選した)7年前、台湾の人々に何を誓ったか」と呼びかけた。
また最大野党・国民党の総統選候補、侯友宜新北市長も演説したが、参加者からはブーイングが起きたという。さらに時代力量の党主席、王婉諭立法委員は登壇し、来年の次期総統選に立候補する民進党、国民党、民衆党を全て批判したが、ブーイングを起こした。
会場には若者を中心に多くの人が集まり、台湾警政署によると約2.5万人が凱達格蘭大道の半分を埋め尽くした。陳氏のユーチューブチャンネルのライブ配信中、視聴者数は約4万人を維持した。
頼清徳副総統「人民の声に耳傾けなければ」
一方、与党・民進党は同日、台北市内のホテルで決起集会を開いた。出席した同党の総統選候補、頼清徳副総統は取材に応じ「(デモ活動について)民主主義国家における正常な状態だ」とし「参加者の声に聞かなければならない」と語った。
蔡英文総統も挨拶で「住宅問題に多くの人が関心を寄せていることは知っている」と述べ「政府は7年前から改善に努めてきた」と説明。「頼副総統は政策を引き継げるよう党として力を尽くしていく」と話した。
なお民進党は今回のデモ活動について「元々テーマとなった住宅問題と司法改革から野党の決起集会となってしまうことがとても遺憾だった」と立場を明らかにした。