一般社団法人日本国際交流協会(馮彦國CEO)はこのほど、日本で初めて「華語文能力試験(TOCFL)」コンピュータ化適性テスト(CAT)を主催した。デジタル化による初の試みで、これまでの筆記による試験とは異なり「回答後の設問も受験者の能力に応じて変化する」(主催者)と、将来を見据えた適性テストの変革を具体化した格好だ。
試験場所は茨城地区で7月29日に、横浜地区は翌30日にそれぞれ開催した。2日間で3つの試験を実施し、受験生は合計42人。うち3人は中学生で高卒者は39人。台湾留学に必要な「華語文能力試験」の基礎級(Level 2、CEFR A2に相当)以上の証明書を取得した後、今年9月に台湾へ留学するという。
近年、日本で華語文を勉強する人口が急増しており、台湾からの華語文教師は「日本人学生の台湾留学を奨励しています。留学には「華語文能力試験」の基礎級以上の証明書が必要です。このため、華語文試験の受験需要が大幅に増加しているのです」と説明する。馮彦國氏は「日本は2006年より華語文能力試験を実施している。筆記による試験です」と話す。
こうした理由から、日本国際交流協会は今年5月に台湾の国家華語文テスト推進工作委員会と台湾外交部台日協会の立会いの下で海外代理協力覚書に署名し、CATを実現させた。
CATは試験問題反応理論に基づいて、受験生が問題を答えた結果により能力をリアルタイムで評価され、最適な試験問題が選択される。これは受験生の能力をコンピュータが瞬時に解析することで実現されるもの。一般の筆記テストとは異なり、受験生が正解すると問題はより難易度が上昇する。逆に誤回答の場合は問題も簡単になるなど、デジタルを駆使した新たな試験制度とも言える。
さらに、受験生が答えをクリックして次の問題に入ると、前題に戻って答えを修正することはできない。試験後はすぐにスクリーンで自身の測定点数及び合格レベルを知ることができる。台湾留学を目指す受験生には便利なシステムでもある。
二日間のCATでは、華測会が台北で遠隔支援した。初日に茨城試験場で不具合が発生したが、台北での即時遠隔の協力で短時間で故障を解決した。受験生に影響はなかったという。また、今回の試験日程は、台湾現地の学校と学生の試験需要にも合致したため、台湾留学を申請する学生にとって最適なタイミングだったという。
学校側も受験生も今回のコンピュータ試験には「非常に満足」とのこと。学生の試験成績も予想通りの基準に達したため、受験生のほとんどが9月の台湾留学を実現できるという。
初のコンピュータ化適性テストは指標的な意味合いがある。将来、日本各地で華語文のコンピュータ試験を強く推進されるものとみられ、良い基盤を築いたとも言える。
馮彦國氏は「日本各地の台湾華語教育機関の華語教師の支援に感謝します。今後、日本の華語機構向けに順次コンピュータ化適性テストを推進する計画です。筆記テストを実施している東京、横浜、大阪の華僑学校3校への支援も積極的に行っていきます」と説明。日本における CAT の人気と市場の拡大をこれからも加速させるという。