台湾農業部は9月16日、台湾国内での鶏卵不足を背景に政府が今年3月から7月までに輸入した卵のうち、3割超に相当する約5170万個が破損や賞味期限切れにより廃棄処分の対象になっていると発表した。
台湾では今年1月以降、寒さや鳥インフルエンザなどの影響で卵の生産量が落ち込み、品薄状態が続いた。法外価格で卵が販売される問題も発生し、農業部は3月から、卵の安定供給に向けて卵の輸入を実施。だが今月に入り、一部の輸入卵の消費期限が誤表記されていたことが発覚し、輸入卵の流通に関して注目が集まっており、政治問題となっている。
農業部が9月16日に公開した資料によると、7月までの5カ月間に輸入した卵は1億4000万個余り。タイ、フィリピン、米国、トルコ、オーストラリア、ブラジル、マレーシアなどから輸入した。台湾国内では6月から7月にかけて卵の需要が落ち込み、在庫分に賞味期限切れが相次いだ。また廃棄処分される5170万個はすでに全数回収されている。
農業部の陳駿季政務次長は同日の臨時記者会見で「国内の生産量が一定程度安定している場合、農業部は国内の生産者の生計を守るため、在庫分の輸入卵を市場に出すことはしない」との原則を示した。陳吉仲部長は「卵の輸入は消費者の食の安全を追求すると共に、養鶏業者の生計を保障するのが目的であり、現時点での便益はコストを上回っている」との見解を示した。
なお、野党からの強く非難を受け、陳吉仲部長は翌17日に「政治責任を負う」として陳建仁行政院長に辞意を表明し、同19日の夜には自らのSNSに辞任を発表した。