台湾文化部(史哲部長)は2月17日、第9回「民俗審議会」2024年度第1次会議を開催し、出席した委員の全会一致により、「北港進香(巡礼)」を「重要民俗(日本の重要無形民俗文化財に相当)」に指定すると決めた。保護団体は財団法人北港朝天宮となる。今後は『文化資産保存法』に基づいて正式な公告を行う。これにより「北港進香」は台湾で23番目の「重要民俗」となる。財団法人北港朝天宮は、すでに「重要民俗」に指定されている「朝天宮迎媽祖」の保護団体でもあることから、台湾で唯一、2つの「重要民俗」の保護団体となる。
台湾雲林県(台湾中部)北港鎮にある朝天宮は、台湾の媽祖廟(航海の女神・媽祖を祀る廟宇)の総本山といわれる。「北港進香」は、台湾各地に分霊された媽祖廟の信者たちが、それぞれのご神体(媽祖神像)を乗せた神輿を担いで朝天宮を目指す巡礼のこと。
史哲部長によると、北港朝天宮は台湾の媽祖信仰を代表する廟宇の一つ。「北港進香」では、朝天宮で行われる「接駕」、「入廟」、「刈火」あるいは「参香」、「会香」、「回鑾」と呼ばれるすべての儀式が古くからの伝統を引き継いでいる。文化的あるいは宗教的な意義に加え、全国的な行事であり、多くの県や市を跨ぎ、多様な形式を持つなどの特色を持つ。信仰、文化的資産、工芸、観光など、社会的な機能も兼ね備える。とりわけ市民が自主的且つ自発的に参加し、伝統文化を継承するというスタイルは、長い間地域社会で認められてきた社会生活であり文化的特色にもなっている。
朝天宮の統計によると、朝天宮を訪れる「進香」団体は年間3,000を超え、その参加者は数百万人に上る。「北港進香」は2017年8月18日、雲林県の「県定民俗(=県指定無形民俗文化財)」に指定されている。