世界語としての中国語を学ぶ, 台湾茶体験で広がる中華文化の魅力

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中国の民族衣装でイベントを華やかにしていた、中国語学科1年生

   天理大学中国語学科では、「中国語=中国だけの言葉」というイメージを超え、世界語としての中国語の魅力を体感できる機会を提供しています。実際、中国語は中国本土のみならず、台湾、シンガポール、マレーシアなど東南アジア諸国でも広く話されています。例えば、シンガポールでは人口の約75%、マレーシアでも約20%が中華系であり、中国語を日常生活やビジネスの場面で使用しています。

   世界全体の中国語話者数は約14.8億人にのぼり、国連の公用語にもなっているほどです。これは全世界の約5人に1人が中国語を使っている計算となります。つまり、中国語を学ぶことでアジア各国はもちろん、世界中の人々とつながるチャンスが広がるのです。

   このように、東南アジアの多様な文化や人々と交流できる「世界語」としての中国語を身につけ、世界で活躍の場を広げましょう。

天理大学中国語学科が贈る台湾茶の世界―香りと味わいの旅」という市民講座
天理大学中国語学科が贈る台湾茶の世界―香りと味わいの旅」という市民講座

   2025年5月17日、天理大学創立100周年記念事業の一環として、「天理大学中国語学科が贈る台湾茶の世界―香りと味わいの旅」という市民講座が開催されました。駅前のイベント会場では、台湾茶に関する講義や試飲体験、琵琶の演奏などを通じて、地域住民や学生が台湾文化を身近に感じられる場となりました。

中国語を学ぶ学生の琵琶の演奏もイベントを盛り上げていた
中国語を学ぶ学生の琵琶の演奏もイベントを盛り上げていた

   台湾の茶芸は日本の茶道とは異なり、形式や作法にとらわれず、自由で気軽にお茶を楽しむ文化が特徴です。台湾茶は主に烏龍茶で、香りを重視し、発酵や焙煎の過程によって多彩な風味が生み出されます。当日は、台湾を代表する3種類の烏龍茶を味わうことができました。

‧凍頂烏龍茶:発酵度が低く、花のような香りと爽やかな味わいが特徴。
‧文山包種茶:軽発酵で緑茶に近い風味と清々しい香りが魅力。
‧東方美人茶:発酵度が高く、紅茶に近い甘い香りと蜂蜜のような風味。

天理大学中国語学科が贈る台湾茶の世界―香りと味わいの旅
天理大学中国語学科が贈る台湾茶の世界―香りと味わいの旅

   台湾の烏龍茶は急須で淹れるのが一般的で、茶葉は3回以上繰り返し楽しめます。1煎目は高温のお湯で1~2分ほど蒸らし、2煎目以降は浸出時間を少しずつ延ばすことで、毎回異なる香りや味わいを堪能できます。急須と湯呑を温めてから茶葉を入れ、1煎ごとにお茶を注ぎ切ることがポイントです。茶葉が開くたびに風味が変わり、3煎目までしっかりと香りと味を楽しめます。

   天理大学茶道部4年生の辻さん :「天理大学では多くの学生が台湾に留学しています。台湾大学には世界中からトップレベルの学生が集まり、多様な国の人々と交流できる刺激的な環境です。また、日本統治時代に日本語教育を受けた世代との交流も新しい発見が多く楽しかったです。日本での茶道経験は台湾文化の理解にも大いに役立ちました。」

   「高校時代は英語が好きで英語専攻も考えましたが、オープンキャンパスで中川教授に出会い、中国語の魅力に気づき入学を決めました。中国語は発音が難しいですが、発音を重視した授業が台湾留学でも大変役立ちました。正確な発音ができると自信を持って話せ、相手にも伝わりやすいので、発音を重視する授業内容はとても大切だと思います。」

文山包種茶を入れる天理大学茶道部4年生の辻さん
文山包種茶を入れる天理大学茶道部4年生の辻さん

   中国語の奥深い魅力は文字にも表れています。台湾では繁体字という伝統的な漢字を使い、画数が多いのが特徴です。これに対し、中国本土などでは簡体字が使われており、繁体字を簡略化した字体で画数が少なくなっています。繁体字ができることは希少なスキルであり、台湾華語や広東語の習得にも役立ちます。

   「学生時代から卓球が大好きで、中国語と卓球の両方を学ぼうと天理大学に入学しました。交換留学制度を利用して台湾の中文文化大学に留学し、台湾で中国語を学びながら卓球も楽しみました。卒業後は卓球の魅力を伝える仕事に就けて本当に幸せです。」

   佐々木さんは、世界中に華僑がいるため、卓球を通じて国際的に交流したいとも語っています。台湾でも卓球は盛んで、一人でもできる卓球機械や簡易卓球台など、誰でも気軽に楽しめる環境づくりも夢の一つだそうです。高校時代は卓球に専念したい気持ちが強かったものの、天理大学で中国語も身につけたことで視野が広がったと述べています。

中国語の魅力に目覚めた、辻さんは、大学院に進んで、中国文化の理解を深め、将来は教員になりたいと話してくれた
中国語の魅力に目覚めた、辻さんは、大学院に進んで、中国文化の理解を深め、将来は教員になりたいと話してくれた

   台湾華語は台湾での生活やビジネス、文化理解に不可欠で、台湾独自の表現や繁体字文化に直接触れることができます。一方、広東語は香港・マカオや広東省、さらには海外の華僑コミュニティで広く使われ、現地での深い交流やビジネス、エンターテインメントの理解に役立ちます。どちらも地域社会や文化に密着したコミュニケーションを可能にし、国際的な人脈やキャリアの幅を広げる重要なスキルです。

   天理大学はこのように、「自分の趣味」と「語学」を両立させ、学生の将来の可能性を広げる環境を提供しています。少人数制で一人ひとりの学生と向き合う教育姿勢は大規模大学にはない特徴です。高校生で自分の得意分野を活かし、世界で活躍したいという夢を持つ方にとって、世界語としての中国語を学べる天理大学は理想的な学びの場と言えるでしょう。