保守派の離反で自民党が三連敗

0

   【讀者寄搞】日本の参議院選挙が終了し、自民党と公明党による与党連立は過半数に届かなかった。これは、昨年の衆議院選挙、今年の東京都議会選挙、そして今回の参院選と、石破茂率いる自民党が「三連敗」に陥ったことを意味する。

   現在、国会の衆参両院において自民党は過半数を割っており、これは1955年の保守合同以来、初めての深刻な政局の危機である。

   時事通信が14日に発表した世論調査によれば、石破内閣の支持率はわずか20.8%と、就任以来の最低を記録し、「危険水域」から「退陣水域」へと迫っている。

   石破氏は選挙後の記者会見で続投の意向を表明したが、党内の反発を抑えるのは困難と見られる。読売新聞の報道によると、党内の次期リーダー候補である高市早苗氏は、18日の応援演説で「腹くくった」、「党の背骨入れ直す」と発言しており、党内の権力再編の動きがすでに表面化している。選挙後には麻生太郎氏が先陣を切って「石破続投は受け入れられない」と明言した。

   今回の自民党の大敗には、三つの主な要因がある。

一、経済の停滞と物価の高騰

   いわゆる「令和米不足」は国民生活の苦境を浮き彫りにし、政府が発表した最新の消費者物価指数は前年比3.3%上昇。これは選挙戦の核心的争点となった。経済回復の見通しは立たず、国民の不満が選挙結果に直結した。

二、政治とカネの古い体質

   自民党は長年にわたり金権政治の体質から脱却できず、昨年の衆院敗北を経ても改革への真剣な取り組みは見られなかった。企業・団体献金の問題も未解決のままであり、国民の信頼を失い、党のイメージはさらに悪化している。

三、保守票の「反中」政党への流出

   石破茂氏は田中角栄氏の流れを汲み、「政経分離」の立場から日中関係の改善を主張してきた。北京側も善意を示し、尖閣諸島や与那国島周辺のブイ撤去などの対応をとった。しかし、米中対立が激化し、社会全体に反中感情が高まる中、石破氏の姿勢は右翼メディアから「弱腰」「時代錯誤」と批判された。これを追い風に、右派系の「参政党」が台頭し、多くの保守派有権者を取り込んだ。

   石破氏は一方で中国との経済協力を模索して国内景気の回復を目指し、他方で対米通商交渉ではトランプ政権の関税圧力に強硬に応じ、「対米態度が極めて不誠実」とトランプ氏から非難されるなど、戦略の曖昧さと外交姿勢の揺らぎが有権者の不信を招いた。

   一方、「参政党」は「日本人ファースト」の保守的ポピュリズムを掲げ、トランプ流を模倣しつつ、「憲法改正」や「中国依存からの脱却」といった主張を前面に出し、若年層の共感を得て躍進を遂げた。

   今回の選挙結果は、石破路線に対する審判であると同時に、日本政治の右傾化傾向を如実に示している。国際情勢が一層厳しさを増す中、日本国民の生活と安全への不安は静かに広がり、「国を守る」本能が政治の天秤をゆっくりと保守側に傾け始めている。

2025年7月22日
大田一博 寄稿