日本国際交流協会が日出町訪台を全面支援、新竹市と交流覚書を締結、日台地域連携の新たな一歩

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   大分県日出町の安部徹也町長率いる産官代表団はこのほど、一般社団法人日本国際交流協会からの全面的な企画及び推進のもとに、7月2日より四日間の日程で台湾を訪問した。訪問先は台湾新北市鶯歌区、桃園市(銘伝大学および大渓区)、新竹市、新竹県宝山郷の4都市だった。

団は大分空港で今年の通航虎航空機で桃園国際空港に到着(日本国際交流協会提供)
訪問団は大分空港で今年の初めて通航タイガーエアラインで桃園国際空港に到着)

   訪問には、日本国際交流協会の李奇嶽会長を筆頭に、馮彥國執行長、陳志宏秘書長、日本側からは賀川洋最高顧問夫妻などの主要幹部が同行した。協会の強固なネットワークと実行力を結集し、全行程に渡って円滑で成果あるものとなった。訪問先では、都市外交、産業連携、文化交流など、具体的な推進に重要な架け橋としての役割を果たした。

   訪問2日目には、日出町に所在するテーマパーク「ハーモニーランド」を運営するサンリオエンターテイメントの小巻亜矢社長および柳内和子常務執行役員も同行し、地域連携の可能性を台湾側に強くアピールした。

歓迎会 安部徹也町長(右四)と前福岡領事館総領事陳忠正(右五)と本協会の李奇岳博士(左五)(日本国際交流協会提供)
歓迎会 安部徹也町長(右四)と前福岡領事館総領事陳忠正(右五)と本協会の李奇岳博士(左五)(日本国際交流協会提供)

   なお、訪問は交流活動を主とし、実質的に同3日と4日に集中して実施された。また、新竹市では、市政府と「友好交流覚書(MOU)」を正式に締結し、日台地方都市間の多分野にわたる交流と連携の新たなモデルを打ち立てた。以下は訪問先での活動内容 :

7月3日 新北市鶯歌区

   新北市鶯歌区公所の訪問では、曾明華区長と面会。陶磁器博物館や美術館、老街を含む文化資源が紹介され、同区の「アートシティ構想」についてオリエンテーションを受けた。曾区長は、かつて締結した愛媛県砥部町とのMOUを例に挙げ、日出町との今後の協力に期待を寄せた。安部町長は鶯歌の文化政策に深く感銘を受け、日出町の観光資源である「ハーモニーランド」や「別府温泉」、さらに熊本県への台湾半導体企業進出による地域経済発展の現状を紹介。双方は今後の相互訪問と持続的交流に合意した。

出町金元正生議長(右四)と鶯歌区曾明華区長(左四)の鶯歌区役所前(日本国際交流協会提供)
日出町金元正生議長(右四)と鶯歌区曾明華区長(左四)の鶯歌区役所前(日本国際交流協会提供)

7月3日 銘伝大学観光学院

   桃園市にある銘伝大学観光学院の訪問では、周勝方学院長による歓迎のもと、航空、ホテル、旅行業の3領域を対象とした実習教室を見学し「実践の中で学ぶ」教育モデルに深い共感を示した。座談会では、学生インターン制度、産学連携、文化交流、単位互換制度(ダブルディグリー)など多岐にわたるテーマで意見交換が行われた。銘伝大学は観光学専攻の学生を日出町で受け入れる可能性について提案し、観光教育連携の深化に向けた実質的な議論が進められた。

台湾の銘伝大学観光学部航空模擬教室を見学(日本国際交流協会提供)
台湾の銘伝大学観光学部航空模擬教室を見学(日本国際交流協会提供)

7月3日 桃園市大渓区

   大渓区の訪問では、桃園市民政局の藍品懿副局長や区公所幹部らによる熱烈な歓迎を受けた。交流会では伝統工芸「大型独楽」のパフォーマンスや、地域の記憶を伝える「六四ストーリーハウス」の見学などを通じて、伝統文化への理解を深めた。さらに、曹洞宗の斎明寺を訪れ、百年の歴史と日本との縁に触れた後、夜には新竹市議員の陳啓源氏主催の夕食会が催され、両国関係者間の親交を深める機会となった。

桃園市大渓区公所民政局藍品畯副局長(右前五)と訪問団(日本国際交流協会提供)
桃園市大渓区公所民政局藍品畯副局長(右前五)と訪問団(日本国際交流協会提供)

7月4日 新竹市政府

   新竹市政府の訪問では、邱臣遠市長と正式に「交流協力覚書(MOU)」を締結した。会場には都市行銷処、産業発展処、教育処、文化局の各関係者も出席し、観光・産業・教育・文化の多分野における実質的連携の礎が築かれた。邱市長は、半導体産業や文化都市としての新竹の強みを活かし、日出町との都市外交の推進に意欲を示した。安部町長もまた「Hello Kittyと暮らすまち」としてのブランディングや、大分と台湾を結ぶタイガーエア直行便の活用を強調し、今後の産業協力拡大に期待を寄せた。

新竹科学園区見学(日本国際交流協会提供)
新竹サイエンスパーク見学(日本国際交流協会提供)
大分県日出町安部徹也町長(右)と新竹市邱臣遠市長(左)が協力覚書を締結(日本国際交流協会提供)
大分県日出町安部徹也町長(右)と新竹市邱臣遠市長(左)が協力覚書を締結(日本国際交流協会提供)

7月4日 新竹県宝山郷

   新竹県宝山郷の訪問では、邱振瑋郷長の案内で座談会が開催された。農業、都市発展、観光資源の活用に関する意見交換がなされ、柑橘類、オレンジケーキ、タケノコなどの特産品の紹介も行われた。地域ブランドと観光戦略の融合に向けた具体的な協議のほか、同行したサンリオエンターテイメントの小巻社長に対して、同郷でのテーマパーク誘致への期待が表明された。

訪問団と新竹県宝山郷訪問郷長邱振瑋(左六)新竹市議員陳啟源(左二)写真(日本国際交流協会提供)
訪問団と新竹県宝山郷訪問郷長邱振瑋(左六)新竹市議員陳啟源(左二)写真(日本国際交流協会提供)

日台の都市交流の新たな段階へ

   代表団の訪台は、日本国際交流協会の強力なリーダーシップとネットワークによって実現されたもので、都市間連携の「形式から実質」への転換を象徴する機会となった。李奇嶽会長は「これは単なる儀礼ではなく、成果に繋がる草の根外交の実践である。国際交流協会は今後も日台の地方都市間の架け橋として、その深化と永続化を支えていく」と語った。

大分県日出町と新竹市協力覚書締結(日本国際交流協会提供)
大分県日出町と新竹市協力覚書締結(日本国際交流協会提供)

   賀川洋最高顧問は「人的ネットワークを基盤とするMOU締結は前例の少ない快挙であり、今後の実務レベルでの交流の加速が期待される」と強調した。

   日本国際交流協会は今後も、教育国際化、文化交流、産業協力の分野において、台日双方の地域社会を、実質的な橋渡し的な機能を果たし、持続可能な都市外交の基盤を築いていく方針である。

日本国際交流協会メンバーと日出町訪問団新竹市役所前(日本国際交流協会提供)
日本国際交流協会メンバーと日出町訪問団新竹市役所前(日本国際交流協会提供)