群創光電が第5工場も26年の半ばを目処に閉鎖

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   台湾の液晶パネル大手の「群創光電」は7月10日、台南園区(台南市新市区)の南部にある科学園区(南科、南部サイエンスパーク)で稼働している第5工場を2026年の半ばを目処に閉鎖すると発表した。パネル市況の低迷などで22年、23年と大幅赤字を計上。24年は台南第4工場の売却などにより、最終黒字とした。今後は、南科第5工場以外にも工場2基を閉鎖する見込み。

   群創光電は同9日の工場長会議で、南科第5工場を閉鎖すると発表した。南科第5工場は、第5世代ガラス基板を使用し、主にノートパソコンやモニターなどのIT(情報技術)製品用パネルと医療向けパネルを生産している。

群創光電が南部サイエンスパークで運営する第5工場(圖/群創光電官網)
群創光電が南部サイエンスパークで運営する第5工場(画像出典:群創光電公式ウェブサイト)

   計画では、26年の半ばまでに南科の第3工場や新竹科学園区(竹科)竹南科学園区(苗栗県竹南鎮)のT2工場(第6世代)に生産を移管する。顧客のPC大手、宏碁(エイサー)や華碩電脳(ASUS)、デル、HPに対してはすでに事情を通知しており、順次T2工場の認証作業を進める。南科第5工場のほか、X線センサーを生産している南科第2工場及び竹科竹南園区のT1工場も閉鎖する計画。

   群創光電は、市況の変化に合わせた生産調整で「パネル以外の事業を拡大し、経営資源を潜在成長性がある分野に充てる」と説明した。これまで群創光電は、24年に南科第4工場をファウンドリー最大手の「台湾積体電路製造」(TSMC)に売却した経緯がある。24年には、これに加え中国の江蘇省南京市のモジュール工場も売却。その設備は中国浙江省の寧波工場に移設し、従業員1000人は解雇した。これにより、24年の連結売上高は前年比2.3%増の2165億1000万台湾元(約1兆900億円)、純利益は64億7300万元で、3年ぶりに黒字転換を果たした。23年の損失は186億4300万元、22年は279億9000万元だった。

群創光電(画像出典:群創光電公式ウェブサイト)
群創光電(画像出典:群創光電公式ウェブサイト)

車載用や半導体封止に注力

   台湾のパネルメーカーが第5世代や第6世代のガラス基板を使用して、古い生産ラインで生産しているのに比べ、中国のパネルメーカーの多くは、テレビ用パネルは第10.5世代ガラス基板、IT製品用パネルは第8.5世代ガラス基板を使用して生産しており、競争力がある。

   群創光電の洪進揚董事長は、今年5月の株主総会で「自動車メーカーに部品を直接納入するティア1(一次)とともに、半導体の先進パッケージング(封止、アドバンスドパッケージング)に注力する」と表明している。また、6月26日には、シンガポールの子会社が車載電子機器メーカー、パイオニアの全株式を1636億円で取得すると発表していた。

   一方、液晶パネル大手「友達光電」(AUO)は、22~24年と3年連続で最終赤字だった。24年8月にカラーフィルター(CF)工場を売却、25年2月に子会社の工場をマイクロン・テクノロジーに売却すると発表した。単なるパネルメーカーを脱却し、パネルを中心としたディスプレイのソリューション会社に転換することを目指している。