【山口訊】インド太平洋戦略研究所の矢板明夫理事長をはじめ、訪問団長を務めた台湾前衛生署長の涂醒哲氏、台日産経友好促進会の葉建揚会長、台日交流高座之友会の何敏豪会長らはこのほど台湾から来日した。山口県や石川県の学校給食に台湾産米を寄贈する活動を行い、9月4日には安倍晋三元首相の妻の昭恵さんとも面会し昼食を共にした。
昭恵さんは面会の挨拶で「日本では昨年から米の収穫量が減り、価格が高騰している。そんな中、日本の子どもたちのために台湾の友人が白米を届けてくださり、本当に感動し心より感謝している」と話した。また「ここ数年で何度も台湾を訪れた。今年9月にも、台湾の政治大学に設立される『安倍晋三研究センター』のために再び訪問する予定です。台湾の友人たちは家族のような存在であり、安倍晋三に寄せられる関心に心から感謝している」と語った。

さらに昭恵さんは、中国共産党の「九三軍事パレード」で習近平国家主席とロシアのプーチン大統領や北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記らが並んで出席する姿に「少し恐ろしく、世界がどの方向に進むのか分からない」と話した。その上で「だからこそ日本と台湾が手を携え、共に世界の平和に向かって進むことが重要だ」と持論を表した。

涂醒哲氏は「台湾と日本の関係は非常に良好であり、その原動力となったのが『台湾有事は日本有事』と率先して発言した安倍晋三氏。台湾の国際的知名度をアジア太平洋地域に広げてくれた」と話し、両国関係のさらなる発展に期待を寄せた。

矢板氏によると、昨年の日本は記録的な猛暑で米の収穫量が減少。訪日外国人客の急増で外食需要も拡大し、今年の米価は約3倍に高騰した。その結果、政府予算に制約のある学校給食では米の提供が減り、パンや焼きそばに置き換わるケースが増えているという。

今回の寄贈活動では、台湾産「台南11号」20トンを購入し、そのうち10トンを安倍晋三氏の故郷である山口県へ、残り10トンを八田與一の故郷であり、昨年能登半島地震の被災地でもある石川県へ届ける。これは両県の約20万人の児童生徒や教員に一食分の給食を提供できる量に相当する。矢板氏は「台湾米は日本米に近い風味を持ち、寿司などの和食にも適している。台湾米を広く知っていただく良い機会にもなる」と話した。

2025.09.09