【読者投稿】日本政府は11月3日、「秋の叙勲」受章者リストを発表し、外国人に与えられる最高位の名誉である「旭日章」のなかに台湾からは3人の傑出した人物がそれぞれ「旭日大綬章」「旭日中綬章」「旭日小綬章」を受章。11日に皇居で授与式が行われます。
海外からの受章者は53か国・104人ですが、台湾だけが3種類すべての綬章を受けるということで、大きな注目を集めています。
興味深いのは、中国・ロシア・北朝鮮はいずれも受章者リストに入っていなかったこと。
中国外交部の毛寧報道官は6日、「日本は台湾独立勢力に誤ったメッセージを送るのをやめるべきだ」と激しく抗議しましたが、日本のメディアは冷静で、特に波紋は広がっていません。中国の抗議は空回りに終わったようです。
今回、栄えある勲章を受けた台湾の3人は、前駐日代表の謝長廷氏、台湾電機電子工業同業公会理事長の李詩欽氏、そして台湾之友会総会長の黄崑虎氏です。
このうち最高位の「旭日大綬章」は外国人は8人のみが受章しており、謝氏の受章は非常に稀なケースとなっています。
謝長廷氏と黄崑虎氏はいずれも「哲人王」と呼ばれた李登輝元総統と深い関係があります。
李氏と謝氏はともに京都大学出身で、京都学派の西田幾多郎の『善の研究』に強く影響を受けました。
謝氏は在任中、「善の循環」を唱え、柔らかな外交姿勢で多くの日本人の心をつかみました。
一方、93歳の黄崑虎氏は「李登輝之友会」元会長として知られ、ボランティア活動に熱心で、自宅の古民家(二百年の歴史)で開く音楽会は日台友好の象徴にもなっています。石川県の地震の際には多額の寄付を行い、その功績はまさに受章にふさわしいものです。
台湾と日本の間に国交がないという現実の中で、台湾の3人がそろって勲章を受けたことは、日台両国の深い絆を象徴する出来事です。「国交はなくとも心は通じる」という言葉を証明するような外交の奇跡とも言えます。
一方で、中国の激しい反応は、その焦りと孤立を逆に浮き彫りにしました。
今、台湾海峡の緊張が高まる中、高市早苗氏が総理大臣に就任したばかりで国際舞台でリーダーシップを発揮し、日米同盟の強化を進めています。
そして台湾駐日前代表の謝長廷氏に最高位の勲章を授与したこと、さらに後任の李逸洋代表が謙虚で安定感のある外交を展開し、今年の東京での台湾国慶祝賀会では国会議員193人が出席するという盛況ぶり。これらの動きは、日台関係が静かに、しかし確実に深まっていることを物語っています。
今回の秋の叙勲は、台湾の誇りであると同時に、歴史的な象徴でもあります。
政治が壁を作っても、人と人の心は国境を越える。
謝長廷氏の温かな外交、李詩欽氏の産業界への貢献、黄崑虎氏の民間交流――三者三様の努力が、同じ精神を示しています。
それは「徳をもって光となり、善をもって橋となる」ということ。
旭日章が示すのは、単なる勲章の輝きではなく、日台両国の文明の共鳴です。
植民地時代の記憶から民主の交流へ、過去の対立を越えて理念を共有する時代へ――
日台はついに「善」という共通の言葉で、お互いの位置を見つけました。
この三つの旭の光が、東瀛とフォルモサの間の海を照らし、
善を舟に、知を舵に、平和へと進む航路を導くことを願ってやみません。
参考:
今秋の「旭日章」外国人受章者は、以下の6等級に分かれています。
旭日大綬章(旧勲一等)……8名
旭日重光章(旧勲二等)……11名
旭日中綬章(旧勲三等)……21名
旭日小綬章(旧勲四等)……16名
旭日双光章(旧勲五等)……19名
旭日単光章(旧勲六等)……6名
合計81名。
なお、次の等級である「瑞宝章」の外国人受章者は23名となっています。
2025年11月10日
医療法人輝生医院理事長 大田一博(王輝生)敬具



















































