【日米がそろって台湾を支援 台湾海峡の安定は民主陣営の共通認識に】

0

【読者投稿】12月6日の『日本経済新聞』は、5日にトランプ米総統が発表した「国家安全保障戦略(NSS)」を大きく取り上げ、「台湾の占領を阻止するため能力強化」との見出しを一面に載せました。

NSS では「台湾を奪わせないため、米国と同盟国の能力を強化する」と明記され、日本にも台湾有事に備えて防衛力の増強を求めています。これだけでも、今回の方針がどれほど重要かが分かります。

わずか10日ほどの間に、日本と米国は相次いで公式文書を通じて、北京と国際社会に向けて強いメッセージを発しました。
「台湾海峡の平和は、もはや地域の問題ではなく、日米と世界共通の利益だ」 ということです。

11月25日には、日本政府が「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」とする答弁書を閣議決定しました。戦後日本がここまで踏み込んで台湾情勢を位置付けたのは初めてで、日本にとって台湾海峡の安定が国家安全の核心になったことを意味します。

続いて、12月2日にはトランプ大統領が「台湾保証実施法案」に署名し、断交後の制約を超えて、台米の公式交流を法的に支える仕組みが整いました。さらに今回の NSS では「台湾周辺での衝突を抑えること」を優先事項に掲げています。

日米が短期間で立て続けに台湾支援を打ち出したことは、まさに「戦略的なリレー」と言えます。

その意味は大きく分けて三つあります。

① 米国が日本の対台湾姿勢を行動で支える

中国が日本に圧力を強める中、米国は外交的な発言だけでなく、法律や戦略文書を通じて台湾支援を明確化しました。これは日本の対台湾政策への実質的な後押しであり、「日米で台湾を支える」という姿勢が現実の政策に格上げされたということです。

② 日米がそろって中国に抑止メッセージを送った

日本は台湾情勢を「国の安全保障問題」として位置付け、米国は台米関係を「制度的に」強化。さらに両国は第一列島線の防衛力強化にも踏み込みました。

台湾・日本・米国が安全保障面で連動する構図が固まり、台湾海峡で冒険的行動を取ろうとする勢力にとって、状況は一段と厳しくなったと言えます。

③ 台湾に安心感を与え、悲観論を和らげる

中国の脅しが続く中、台湾では不安や悲観論が出ることもあります。しかし、日本の公式見解、米国の相次ぐ立法、そして NSS の明確な位置付けは、台湾がすでに「インド太平洋の安全保障ネットワークの一部」として扱われていることを示しています。台湾は孤立していないのです。

中国が台湾を孤立させようとすればするほど、日米台の結び付きはむしろ強くなっています。これは偶然ではなく、霸権的な拡張に対する必然的な反作用です。

いま台湾は民主陣営の最前線に立ち、日本は「安全保障の観点から」支援を拡大し、米国は「法的な基盤」を整えて台米関係を固めました。

日米が送るメッセージはこれ以上なく明快です。

「台湾海峡の平和は、自由で民主的な世界の共通の約束である」。

2025年12月8日

医療法人医院理事長 大田一博 敬具