~学研「中国の指示」と表明。台湾政府の抗議受け販売中止~
2008年1月10日
大手教育系出版社として知られる「学習研究社」の関連会社である「株式会社学研トイズ」の製品である「スマートグローブ」(音声ガイドつき地球儀\29,400-)に、「台湾」を「台湾島」と表記していることが1月10日までに分かった。また、同製品には付加説明書が添付されており、その説明書に「中華人民共和国(中国)政府の指示により、地球儀表面の、本来であれば「台湾」の表記のある部分が「台湾島」となり、同部分を付属のペンでタッチするとそこが「中華人民共和国」であるむねの音声が流れるようになっている」という説明が書かれていた。
この問題に対し、台北駐日経済文化代表処の朱文清・広報部長は同日、学研トイズの中村晃一・代表取締役に対し、以下の通り厳重な抗議の意を表明した。
「(学研トイズは)故意に台湾を中華人民共和国の一部として表記することを黙認した」と指摘。「台湾は中華人民共和国とは別の主権国家であり、同社の製品の表記は台湾に対する主権侵害に加担している。…速やかに事実に基づいた正しい表記に改め、中華人民共和国による台湾への主権侵害を幇助することの無いよう、また、台湾国民の感情を傷つけることのないよう、同製品の販売中止を要求する」。
同社の広報室によれば「工場が中国にあり、そのため、製品の各所の表記は中国政府の指示に従った」と説明した。また、樺太の南半分、北方領土として知られている「千島列島」も、ロシア領と表記されていた。
同社はこの台湾政府からの抗議を受け「不適切な表記があった」として商品の販売中止、及び同製品の購入者に販売価格での引き取りを決めた。
同製品と同じものとして、玩具大手「タカラトミー」社にも「トーキンググローブ」という製品があり(\1,3440-)、こちらも学研と同様に販売中止と製品の引取りを決めた(これも中国製)。
両社とも、この内容を自社のホームページで発表している。
なお「台湾島」は、中国で発行される地図などで台湾を指すさいに使用されている表記であり、日本で一般的に使われている国名である「台湾」とは異なる。
なお、中国外務省の姜瑜報道官は10日、定例記者会見において、この問題を取り上げ、中国で地球儀を製造する日本企業が中国政府の指示を受けて台湾を「台湾島」と表記したのは「中国の法律を順守したものだ」と述べ、「台湾島」の表記は当然だとの見解を強調した。
加えて、日本の各新聞は中国政府の発表内容は紙面に載せているものの、台湾政府からの抗議によってこの問題が表面化したことは載せていない。
なお、1月17日、同製品を販売していたうちの1社「学研トイズ」は、6月末までに会社を解散することに決定した。ただし、学研グループとしての玩具販売は継続するとのこと。なお、同社の解散がこの事件とかかわりがあるかどうかは不明。