文・日本関東崇正会 周 子秋
謝珠栄女史は、日本における”客家”の長老である、前「全日本崇正総会聯合総会」謝坤蘭会長の娘として1950年に大阪府吹田市で誕生した。
1971年に「宝塚音楽学校」を首席で卒業し、第57期生として「宝塚歌劇」に入団。芸名は「隼あみり(Hayabusa・amiri)。翌年には花組に配属となり、以降は得意なダンスを生かしながら“男役”として活躍。
1975年に宝塚歌劇団を退団後、ニューヨークへ留学し、帰国後は振付家として活動を始める。劇団四季の振付の講師をはじめ、夢の遊眠社、こまつ座などの公演に参加し、「演劇的踊り」が高く評価され、個性的な振付は演劇界に大きな衝撃を与えた。その後もミュージカル・映画・TVなどの分野で振付家として幅広く活躍し、1990年より本格的に演出家へと転向した。
1985年にはTSミュージカルファンデーションを設立させ、オリジナルミュージカルの企画・製作を手がけ話題作を発信し続けている。
その謝珠栄女史が、自分自身のルーツである「客家」をみつめ、新たなオリジナル作品を創り出す。それは、長年の活動より振付家・演出家としての実力を築きあげた今だからできることである。
今年11月に東京と兵庫で公演が出来ることは、在日“客家”人としての誇りであり、そしてまた“客家”を知らない人々へ、客家を知ってもらう良い機会でもあるとの思いでもある。
謝女史はこれまでの実績が称えられ受賞暦も数多くある。
1993年 第43回芸術選奨文部大臣新人賞 受賞
1995年 第20回菊田一夫演劇賞 受賞
1999年 第54回芸術祭優秀賞受賞(宝塚歌劇団『激情』にて)
2008年 第10回東京芸術劇場ミュージカル月間 優秀賞(演出・振付) 受賞
第43回 紀伊國屋演劇賞個人賞受賞 (「タン・ビエットの唄」「Calli」「AKURO」演出・振付にて)
第16回 読売演劇大賞 最優秀スタッフ賞受賞(「AKURO」の振付)
また、謝女史は「宝塚歌劇団」に携わることも多く、ここで「宝塚歌劇団」について簡単に紹介する。
宝塚歌劇団は、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)と東京宝塚劇場(東京都千代田区)を中心に公演を行っている。
元は、1913年阪急電鉄㈱の前会長である小林一三氏が創立した女性歌劇(少女歌劇)の劇団であり、創設の当初より「老若男女誰もが楽しめる国民劇」を目指し、日本で初めてレヴューを上演した劇団として、一躍有名となった。
1914年 宝塚新温泉内パラダイス劇場に於いて上演開始。
1939年 宝塚音楽歌劇学校が改称し、「宝塚少女歌劇団」と「宝塚音楽部用学校」に分離。
1940年 「宝塚少女歌劇団」を「宝塚歌劇団」に改称。
宝塚の団員はまず劇団付属の「宝塚音楽学校」に入り、2年の厳格な教育と訓練を受けることになっており、劇団入団の条件も音楽学校の卒業生に限られている。
劇団は、「花・月・雪・星・宙」の5つの組と専科に分かれており、各組がそれぞれに公演を行い、必要に応じて専科に所属する生徒がこれに参加する。
女性だけの劇団であるため、男性役も女性が演じる。男性の役を「男役」・女性の役を「娘役」といい、創立当初は娘役に人気が集まりましたが、現在は男役の人気が圧倒的に高く、そのため舞台構成なども男役を中心に作られている。
客家は、「家族」を大事にし、克苦に耐労、勤倹に質素で、教育を重視し、人材を輩出している、1種の特殊な民族である。世界各地「太陽のあるところに、客家あり」といわれるほど、世界各地に分布しています。
今秋11月に上演される新作ミュージカル『客家』は、謝女史が自ら企画・演出をし、客家文化を通して一人でも多くの人に「客家」を知ってもらうと同時に、現代の人々に必要とされている家族との絆を軸にメッセージ性の高い作品になると見られる。
3月16日、周子秋氏は日本関東崇正会を代表し、台湾客家の桐花生地一枚を事務局の荒井かおりさん(謝珠榮女史出國の為)に手渡し、新作の「客家」に役に立つように期待している。
註: 全日本崇正会聯合総会、日本関西崇正会、日本関東崇正会、名古屋崇正会、沖縄崇正会などから構成され、現会長は陳荊芳とします。