ウィツ(東京都三田、大阿久昌彦社長)は、台湾に本社があるウィストロングループのソフト開発部門、ウィストロンITSの日本法人。ウィストロンはエイサーグループの中核をなす企業で、OEMの製造部門を担っている。
社長の大阿久昌彦氏は、IBMを経て、IBMと三菱商事の合弁会社ITフロンティア副社長、エイ・アンド・アイシステム社長を歴任。今年1月ウィツの社長に就任した。「ITフロンティアに在籍していた時、システム開発の海外拠点を探すため、インド、上海、北京と回りましたが、親日で日本語熱も高い大連に決定しました。2000年のことですが、まだほとんどどこも進出しておらず、大連に目を付けたのは少数でした。その後、IBM、HPなど大手が入ってきました。大連でウィストロンと仕事をするようになり、その後入社となりました」と大阿久社長は入社の経緯を語った。
同社は昨年9月、システム開発のアドクリエイションを企業買収した。その時、日本人SEが220人増え、中国人SE100人と合わせ320人となった。彼ら日本人SEの対応も、大阿久氏の業務になっている。
同社のグループ企業で北京の現地法人ウィツ中国には事業所が北京、大連、珠海、武漢、上海、廣州の6か所ある。そのうち、北京と大連にウィツ日本からオフショア開発をしている。「人件費が上がったとはいえ、まだ日本に比べれば低予算でシステム開発が出来ます。日本国内でも中国でも開発ができるのが弊社の強みです」(大阿久社長)。中国に進出する日本企業が増えている現在、中国に開発拠点があることは、同社にとって大きなアドバンテージになっている。
昨年、本社のウィストロンは、日本の企業に自社ブランドのハードを納入した。ウィツ日本ではITサービスと保守で365日24時間サポート業務を請け負っている。今後、ウィストロンの製品が日本に普及するようになれば、大きな収益の柱になると見込まれる。
「今期は買収の効果もあり、30億円の売り上げがありました。3年後に50億円を目指しています」(大阿久社長)。
大阿久社長が50億円を目指すのには理由がある。システム開発の企業は固定費にあまり変動がない。売り上げが伸びると、直接利益に繋がる。逆に、売り上げが減ると、利益も減ってしまう。そうなると人材への投資もままならなくなる。「システム開発の企業にとって、人材が財産です。人を増やさないと売り上げが伸びません。そして、最新の技術を習得してもらうことが必要です。それが余裕を持ってできるのが、50億円の売り上げなのです」と強く大阿久社長は語った。