社団法人日本電子路回路工業会(JPCA)主催の第42回国際電子回路産業展、「JPCA SHOW2012」が5月13日より3日間、東京・お台場の東京ビッグサイトで開催された。会場には台湾館が設けられ、台湾プリント板協会(TPCA)が主導となり、台湾のプリント基板生産製造業、精密設備、高品質原材料、化学品メーカーなど20社が参加。各ブースでは、係員の説明に熱心に聞き入ったり、また多彩な展覧物に見入る来場者の姿があちらこちらで見受けられた。さらに、既に商談に入っている日本企業の担当者の姿も。
開催期間中は基調講演として、政府、業界担当者の講演が行われた。初日の6月13日には、午前・午後に分けて、台北駐在経済文化代表処の余吉政副代表(経済担当)、台湾貿易センター東京事務所の陳英顕東京事務所長、台湾経済部・工業技術研究院の施武陽博士の3人の日本語による講演が行われた。会場になった台湾館内の台湾パビリオンセンターでは、OCRを用いた分かり易い講演が展開された。
開催と同時に行われた代表処の余副代表の講演テーマは「日台ビジネスアライアンスの展望」。台湾が中国とECFA(台湾海峡両岸経済協力枠組み協議)を締結したことにより、日本企業が台湾を経由して中華圏に参入しやすくなったとした。日本企業は台湾企業とタイアップする事でグローバルなビジネス展開を有利にし、また、日本の技術を台湾企業がカスタマイズする日台アライアンスに結びつく事を紹介。さらに、20年前に台湾と上海に進出して台湾の東元電機(TECO)と組んだことにより、台湾で成功したモスバーガーの例を挙げて説明。日台企業の交流、マーケティングそして日台企業の連携の必要性をアピールした。
一方、昨今の世界的不況で、台湾の法人税を従来の25%より17%に引き下げられ、台南に「J-Park」と称する日系企業用の3つの工業団地を作った点など、日系企業の台湾進出を政府が率直して応援していることを強調した。
続いて、台湾貿易センター(日本ではJETROに相当)の陳所長が「日台アライアンスによる商機及び台湾貿易センターの無料サポート」のテーマに講演。台湾の経済はここ30年で右肩上がりで成長しており、主にIT分野で大きな発展を遂げた。台湾企業も20年前より技術力が力強くなっていると強調。シャープと鴻海、ルネサスと台積の提携を例に挙げて、台湾企業も日本企業と遜色ないほどの体力をつけており、提携するメリットやリスクの少なさを説明した。また、同センターが日台企業の無料引き合い情報サービスを行っていることに触れ、日本企業にとって台湾調達への支援として大変有効な手段なので是非利用して欲しいと訴えた。最後に、日台企業が提携して中国・アジアのマーケットを開発することのメリットや重要さを改めて呼びかけた。
午後からは工業技術研究院の施博士より日本と台湾の中小企業の連携についての講演が行われた。現在、台湾の中小企業の多くが中国に進出しているが、技術面で苦境に面している。施博士は、同研究院がこうした中小企業を業種を問わず、技術面で支援しているとした。また、このような中小企業は日本の高い技術力を必要としており、日台の中小企業が提携して、中国をはじめ、欧州のマーケットの開発が可能であると指摘した。同研究院は、日台中小企業向けの商談会を最近5年間で76回開催しており46万人が参加、多くの企業提携を実現させた実績を説明した。技術面で全面的にサポートするため、是非台湾の中小企業と手を組んでビジネスチャンスを広げて欲しいと強調した。