台湾北東部の離島・馬祖列島※(連江県、人口1万125人)で7月7日、地元当局が推進するカジノ誘致計画の是非を問う住民投票が行われ、賛成多数で可決された。内訳は有権者7762人のうち賛成1795票、反対1342票で、投票率は有権者の半数以下の40.76%に止まった。
馬祖列島連江県・楊綏生県長は、今回の案について、「県民の多くはまだ心の準備が出来ていない状態。今後、カジノリゾート建設が進む過程で、困難な場面も出てくるかもしれない」。と若干の不安も隠せないとした。が、「県、政府、県民との対話の場を多く持ち、また海外(マカオやシンガポール等)の経験も参考にしてこの地に最も適したカジノリゾートを建設したい」と今後の意気込みを述べた。
これにより、台湾初のカジノリゾート建設が進められることになり、早ければ3年後の完成を目指す。中国からの観光客を誘致することで、地元経済振興を図る狙いがある。また、日本の芸能プロダクション、吉本興業もカジノリゾート内にショッピングモールを作る予定があり、日本からの観光客呼び込みにも期待が持てる。
※馬祖列島・・・中国大陸から約10キロの台湾海峡北部に位置し、かつて中台対立の最前線であった。台北市内の松山空港から飛行機で約50分。1950~70年代に「大陸反攻」を掲げた蒋介石政権が軍事要塞として整備した場所。兵器を格納した坑道や砲台などの戦跡が点在。近年の中台融和を背景に緊張が遠のいた現在は、石造りの伝統建築物とともに貴重な観光資源となっている。人口は戸籍上は約1万人だが、多くが台湾本島へと渡り、実際の居住人口は約6000人。現在、島民の大部分が観光関連や兵士相手の小ビジネスに従事している。カジノ建設で、観光客から今の10万人から450万人に増え、1万人の雇用が創出出来る見込み。