「ありがとう、台湾!」。東日本大震災に世界最大の230億円の義援金を拠出してくれた中華民国・台湾に、日本国内から御礼の声が相次いでいる。7月28日には徳島県日華親善協会総会で、来賓出席した台北駐大阪経済文化弁事処(大阪総領事館)の謝文發(シャブンハツ)副処長に会員らから感謝のメッセージが贈られた。「オープンスカイ協定」の締結など交流新時代に入った日台両国。民間交流を通じて両国の心の絆は着実に深まっている。
徳島県日華親善協会は昨年七月に発足。日華親善協会全国連合会の傘下団体として活動を開始した。日本と台湾、徳島と台湾の友好親善、交流促進に動き始めた同協会。7月28日には、発足一周年を記念して総会が開かれた。
開催場所は徳島市のホテルクレメント徳島。
会員ら百十人が参加。阿波踊りの台湾派遣など、民間レベルでの交流活動促進を確認。懇親会で会員相互の親睦を深めた。
総会には来賓として、台湾の大阪総領事館である台北駐大阪経済文化弁事処の謝文發(シャブンハツ)副処長をはじめとする台湾の外交官や四国の日華親善協会関係者らが駆けつけた。謝副処長以外の来賓は次の方々だ。
台北駐大阪経済文化弁事処・洪英傑(コウエイケツ)部長、台北駐大阪経済文化弁事処・陳浩明(チンコウメイ)職員、香川日華親善協会・井上勉会長、高知県日華親善協会・稲田覚会長、高知県日華親善協会・有田憲一副会長。
総会では、徳島県日華親善協会を代表して、会長の折目信也氏が挨拶。日本と台湾の絆の必要性を力説した。
「東北地方では今なお家族や友人を失い、怒りをはるかに越える悲しみを乗り越えながら、日本人としてもう一度戦うと、そういった強い思いでがんばろうとされております。
しかし、現状は十分とは言えません。そこが悔しくてなりません。政権政党の無策ぶり、世の政治家の無定見、無節操…。これでは国民はたまったものではありません。
東日本大震災では、台湾から200億円を超える義援金が寄せられました。この事実を忘れてはなりません。
台湾総督府の民生長官を務めたことのある政治家・後藤新平は『自治三訣』を説きました。『人の世話にならぬよう、人の世話をするよう、そして、報いを求めぬよう』という教えです。
今、私が考えますに、台湾から世界一の義援金が寄せられた背景には、この後藤新平の理念が台湾の人々の心の奥底に強く生きているような気がします。
今、日本と台湾は年間250万人ほどが行き来しております。現在国交はありませんが、民間交流を通じて両国の友好親善の輪を広げていこう、つないだ手をさらに強いものにしていこうと、信頼の絆を強めているところでございます」。
来賓挨拶では、台北駐大阪経済文化弁事処の謝文發副処長が、日台のさらなるパートナーシップ強化を呼びかけた。
「昨年起きました東日本大震災、日本は大きな被害を被りました。一年と少し経ったいま、被災地の復興も軌道に乗り、明るい未来が少しずつ形になり、希望の光が見えたことをお慶びします。日本の皆様の努力と知恵と団結に敬意を表します。
徳島では昨年協会が設立され、台湾との友好関係が進んでいます。今後とも台湾と日本の友好関係にご支援ご協力をよろしくお願いします。
今年1月の台湾総統選挙では現職の総統が再選され、二期目の任期に入りました。過去4年間、台湾と日本では協定が相次いで締結され、昭和47年の国交断絶以来、もっともよい時期を迎えています。これからも皆様のお力添えをお願いします」。
日華親善協会関係では、全国連合会の副会長を務める井上勉香川日華親善協会会長が、ユニークなスピーチで会場を和ませた。
「ある台湾の方が、『日本と台湾が仲良くするには、日本語を二つ覚えておけば大丈夫』と言ってました。どんなことですかと聞くと、『どうもどうも』と『まあまあ』の二つです。最初会うと『どうもどうも』、そして景気はどうですかと聞くと『まあまあ』。これで終わりなんです。それで私も中国語を二つ覚えますと言いました。『シェイシェイ』と『ニーハオ』の二つです。この二つで台湾との交流もうまくできております」。
県内自治体関係では、岩浅嘉仁阿南市長が挨拶。日台の関係強化を訴えた。
「私は中華民国・台湾にはシンパシーといいますか、思い入れを持っております。と申しますと、かつて七年間代議士を務めさせて頂きましたが、当時は新進党という野党でしたが、党の台湾担当をしておりました。
私はこれからの日本は、アジア圏においては台湾、モンゴル、ベトナム、タイ、ミャンマー、これらの国と仲良くすることが必要だと個人的に思っています。海に囲まれているがそばに外国があるという日本のポジションを考えると、台湾とますます絆を強くしていくことが一番いいのではないかと思っています。
蒋介石総統が敗戦後すぐに200万人の軍人を日本に返して頂いた、ソビエトが日本の分割を主張した時、蒋介石総統が反対した、また天皇制維持の問題、戦後賠償の問題など今日の日本の発展の礎はまさに蒋介石総統にあったと。これは歴史を見ればわかることです。そういうことを日本人が勉強し直さないといけない。そして、台湾と日本の関係を未来永劫確実にものにしていかなければならない。個人的にはそう思っています」。