鴻海とシャープ、提携の結論先送りに

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~鴻海・郭董事長が会見キャンセル~
シャープは今年3月、鴻海がい1年以内に1株550円でシャープの株式9.9%を取得すると発表したが、シャープの株価が200円を割り込んだ8月初旬に鴻海精密工業が買い取り価格の見直し交渉を明らかにしていた。
 当初は8月末までに結論が出ると見られていたが、シャープとの資本提携をめぐる交渉のために来日していた鴻海の郭台銘・董事長が8月30日午後、シャープと同社が共同運営する液晶パネルの主力工場であるシャープ・ディスプレイ・プロダクト(SDT、堺工場)を訪問した後、予定していた記者会見を急きょ欠席、突然帰台した。
 SDTでは、製品サンプルを手にするなどしながら、来日していた蕭万長・前副総統を最高顧問とする台日産業協力訪問団とともに終始なごやかなムードで見学していた。ところがその後、郭董事長が日本や台湾の多くのメディアの前に姿を見せることはなかった。また、郭董事長は奥田隆司社長をはじめシャープの幹部らと一度も顔を合わせることはなかった。記者会見では郭董事長の代わりに同社ナンバー2の戴正呉・副総裁が鴻海を代表して「シャープとの交渉は継続中で両社の共同発表までは何も話せず、今後できるだけ早く結果をお知らせする」と述べるにとどまった。また、郭董事長の欠席は蕭万長・前副総統に同行しているためで、今回の訪日ではシャープ側とは会えていない」と説明した。蕭万長・前副総統は記者会見会場に後ほど現れ、郭董事長のその後のスケジュールは把握していないと語った。
また、鴻海が同日行うとみられていた上半期の業績発表も翌日に持ち越された。
 今回のことを受け、日台の評論家は結論が出るのが遅れているだけで、提携関係そのものを解消する可能性は僅かに過ぎないという楽観的意見が多い。