台北市政府産業発展局は10月16日、台日連携による新しいビジネスチャンスの創出を目的に都内でセミナーを開催した。主催は台北市政府産業発展局の委託を受けた台湾貿易センター(TAITRA)。主催者発表による参加者は187人だった。
このセミナーは、台北市が台日経済交流の一層の強化を図るため、より多くの方に台北市の投資環境や政策を知ってもらおうと企画したもの。招待状には「台湾企業と日本企業との産業協力のプラットフォームを作るとともに、より一層両国の産業協力を深め、海外市場を開拓し、双方ともに利益を分かち合えるような関係を作りたい」と呼びかけていた。
セミナーは午後3時に開始し予定を延長して5時30分に終了。参加者は熱心に聞き入っていた。
セミナーの冒頭は来賓(講演者)の写真撮影から。台北駐日経済文化代表処余吉政副代表、TVBS楊盛昱副総経理、台湾貿易センター東京事務所陳英顕所長、中華民国対外貿易発展協会(台湾貿易センター台北本部)呉政典副処長、行政院世界企業誘致総合サービスセンター洪佩瑜プロジェクトマネージャー、黒剣テレビ番組制作株式会社廖副順総経理、台湾コトブキ株式会社生原悟董事長が登壇して撮影に応じていた。
講演に先立って台北駐日経済文化代表処余吉政副代表と今回のミッションの団長でもあるTVBS楊盛昱副総経理が挨拶。主催者代表の余吉政副代表は「台湾の優位性を活用してもらいウィンウィンのビジネスを構築したい。また台湾は外国企業が中国に進出するときの最適なパートナーである」と述べると、楊盛昱副総経理は「クリエイティブ産業にぜひ台北に来ていただきたい。様々な投資のビジネスチャンスを紹介したいと思う」と力強く答弁した。
講演の目玉は「黒剣テレビ番組制作株式会社」と「台湾コトブキ株式会社」。現在台日の連携ビジネスを実践している注目企業である。発表の部で各講演者のテーマ(講演順)は、「台日産業連携の現状とビジネスアライアンスの展望」(前述余吉政副代表)、「台湾企業の成長と日台連携の最新事例」(陳英顕所長)、「台北市の投資の優位性とビジネスチャンスについて」(呉政典副処長)、「行政院世界企業誘致サービスセンターの紹介と活用方法」(洪佩瑜プロジェクトマネージャー)、「日本と台湾の合弁会社、CNplus Production Inc.の会社紹介とビジネス戦略」(廖副順総経理)、「台湾進出の鍵―日本の企業が台湾進出で成功するため」(生原悟董事長)などであった。
講演の説明では、過去半世紀(1952年〜2012年)における日本から台湾への投資は7248件(国別1位)、金額は約172億ドル(第4位)にのぼる。内容はこうした状況を踏まえ、台湾企業のこの間の躍進と活発化する日台アライアンスの事例を列挙しながら、台中のビジネス連携を見据え、戦略的パートナーとして中国市場への進出を企図する方向を示唆した。
アライアンス事例としては、シャープ・鴻海の提携(資本参加)、DESCENTE・三井物産と満心企業の提携(資本参加)、日本テレビと中天電視の提携(合弁会社設立:黒剣電視節目製作公司)、CANONの台中工場建設(生産拠点)、PANASONICのスマートフォン用PCB新工場建設(生産拠点)など数えきれないとしながら、今回講演者として登場した黒剣テレビ番組制作株式会社のプレゼンテーションでは、日本における民放視聴率NO1日本テレビの本格的な海外進出、それも巨大市場・中国をにらんだ戦略を裏書きする刺激的な内容だった。
講演終了後、台北駐日経済文化代表処余吉政副代表に話を聞くと「この名刺の束をみてください。質問こそ少なかったが、皆さん帰らずにこうしてずっと名刺交換をしています。成功だと思います」。